「管理画面のコンバージョンが、実際の問い合わせより少ない」。広告を運用していると、こうしたずれによく出会います。ブラウザのタグ(Meta ピクセルや Google タグ)だけで計測していると、ブラウザの設定や Cookie の制限、広告ブロックなどで、成果を取りこぼすことがあるためです。この取りこぼしを補うのが、Meta広告のコンバージョンAPI(CAPI)と、Google広告の拡張コンバージョンです。
コンバージョンAPIと拡張コンバージョンの違い
どちらも「ブラウザのタグだけでは足りない部分を補う」ための仕組みですが、補い方が違います。
| 項目 | コンバージョンAPI(Meta) | 拡張コンバージョン(Google広告) |
|---|---|---|
| 何をするか | 成果のイベントをサーバーから Meta に送る | 成果のときに得たメールアドレスなどをハッシュ化して送り、計測を補う |
| 送る経路 | 自社のサーバー(またはパートナー・ゲートウェイ) | 主に Google タグ(サーバーやAPIからも可) |
| 一緒に使うもの | Meta ピクセル(併用が推奨) | 既存のコンバージョン タグ |
| 個人情報の扱い | メール・電話などは SHA-256 でハッシュ化 | メール・電話・氏名・住所を SHA-256 でハッシュ化 |
| 主な設定方法 | パートナー連携/コンバージョンAPI ゲートウェイ/直接の実装 | Google タグ/Google タグマネージャー/Google 広告 API |
コンバージョンAPI(CAPI)の仕組み
コンバージョンAPIは、購入や問い合わせなどのイベントを、ブラウザを通さず、サーバーから直接 Meta に送る仕組みです。ブラウザ側で計測が止められても、サーバーから届いた分は記録されます。
Meta は、ピクセルとコンバージョンAPIを両方使う設定を推奨しています。両方から同じイベントが届くので、そのままでは二重に数えられてしまいます。そこで重複を除く設定が必要です。
コンバージョンAPIの設定手順
- 1
設定の方法を選ぶ
使っているカートやCMSに Meta との連携があればそれを使う。なければコンバージョンAPI ゲートウェイか、自社のサーバーに実装する
- 2
アクセストークンを発行する
直接実装する場合は、イベントマネージャで発行する
- 3
送るイベントを決める
購入(Purchase)、リード(Lead)など、広告の最適化に使うものから
- 4
顧客の情報を添える
メールアドレスや電話番号(ハッシュ化)、IPアドレス、ブラウザの情報、ピクセルが作る識別子など。添える情報が多いほど、Meta が人と結びつけやすくなります
- 5
イベントIDをそろえる
ピクセルとサーバーで同じ event_id を送る
- 6
テストイベントで確かめる
イベントマネージャのテストイベントの機能で、届いているかと、重複が除かれているかを見る
イベントマネージャには、送った情報がどれだけ人と結びつけられているかを示すイベントマッチクオリティが表示されます。低い場合は、添えている顧客の情報が足りないことが多いので、送れる項目を見直します。
拡張コンバージョンの仕組み
Google広告の拡張コンバージョンは、成果のときにサイトで得たメールアドレス・電話番号・氏名・住所などのファーストパーティデータを、SHA-256 でハッシュ化して Google に送る仕組みです。Google は、ログインしている Google アカウントの情報と照らし合わせて、広告と成果を結びつけます。Google 広告ヘルプでは、計測の精度を高め、入札の最適化に役立つと説明されています。
拡張コンバージョンには2種類あります。
- ウェブ向けの拡張コンバージョン:サイト上で完結する購入や申し込みの計測を補う
- リード向けの拡張コンバージョン:サイトで得たリードが、あとで電話や商談を経て成約したときに、その成約を広告に結びつける(オフラインの成果をインポートして使う)
拡張コンバージョンの設定手順
- Google広告の「目標」→「コンバージョン」の設定で、拡張コンバージョンをオンにし、顧客データに関する規約に同意する
- 設定の方法を選ぶ:Google タグ、Google タグマネージャー、Google 広告 API のいずれか
- 送る項目を決める:まずメールアドレス。取れるなら電話番号・氏名・住所も
- フォームの送信時に、入力されたメールアドレスなどをタグに渡す(Google タグなら user_data の設定)
- コンバージョン アクションの画面で、拡張コンバージョンの状態と診断を確かめる
Google タグで設定する場合、Google がデータを送る前にハッシュ化します。自社でハッシュ化してから渡すこともできます。
どちらから始めるか
両方の広告を使っているなら、広告費が多いほう、または自動入札に頼っているほうから始めるのが一般的です。自動入札は記録された成果をもとに入札を決めるため、計測の取りこぼしが少ないほど、判断の材料が増えます。
どちらも、フォームの送信のときに「メールアドレスなどを受け取り、タグやサーバーに渡す」という作業が共通しています。同じタイミングで両方を設定すると、フォームを触る回数が1回で済みます。申し込みごとの一意のID(注文番号など)も、Meta の event_id と Google広告の取引ID(transaction_id)に同じ値を使うと、あとから照らし合わせやすくなります。
設定したあとに確かめること
- 管理画面の成果の数と、問い合わせや受注の実数を、週ごとに突き合わせる
- 重複を除けているか(Meta で成果が急に2倍近くになっていないか)
- フォームやサンクスページを作り直したときに、タグとイベントIDの受け渡しが壊れていないか
- 自社のプライバシーポリシーに、広告の計測のためのデータの扱いが書かれているか
計測は、一度設定して終わりではありません。サイトの改修のたびに壊れることがあり、壊れると自動入札がずれた数字で学習してしまいます。成果の急な変化に気づいたら、まず計測を疑うのが基本です。
よくある失敗と防ぎ方
設定そのものより、設定のあとに気づかないまま放っておくことで困る例が多く見られます。
| よくある失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| ピクセルとサーバーで event_id がそろっていない | 同じ申し込みが二重に数えられ、成果が多く見える | テストイベントで、片方だけが残っているかを確かめる |
| サーバーから送るイベント名がピクセルと違う | 重複が除かれず、別のイベントとして数えられる | イベント名の一覧を作り、ブラウザとサーバーでそろえる |
| メールアドレスをフォームからタグに渡せていない | 拡張コンバージョンの状態に問題が出たまま、計測が補われない | コンバージョン アクションの診断を、設定の翌週にも見る |
| 確認用の送信や社内の試しの申し込みまで成果になる | 実際の申し込みより成果が多くなり、自動入札がずれる | 社内のテストの送信の扱いを決め、数を突き合わせて確かめる |
| 担当者が変わり、何をどこで設定したか分からない | サイトの改修で計測が壊れても、直す人がいない | 設定の方法、送っている項目、確かめ方を1枚にまとめて残す |
数を突き合わせるときは、管理画面の成果と社内の実数が完全には一致しないことを前提にします。計測の範囲や、成果を数える日付の基準が違うためです。差が急に広がったか、急に縮んだかという変化に目を向けると、計測の異常に気づきやすくなります。たとえば、毎週の突き合わせで管理画面の成果が実数のおよそ8割だったのに、ある週から5割に下がった場合は、その週にサイトの改修やタグの変更がなかったかを先に確かめます。比べる割合は会社ごとに違うので、自社のふだんの割合を記録しておくことが大切です。記録は、週ごとの日付と2つの数を並べるだけで十分です。
インハウスマーケでできること
インハウスマーケのインハウスAIは、Google広告・Meta広告を毎朝点検し、コンバージョンの急な減少などの変化を Slack・Chatwork・Google Chat・メールでお知らせします。計測が止まったときの早い発見に役立ちます。タグの設定そのものは行いません。料金は月5万円(税別)からです。


