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計測と分析

広告運用のKPI設計|目標CPA・ROASの決め方と計算式

原田 真之

監修 原田 真之(株式会社TUKURO 取締役)

公開 2026.10.16/更新 2026.10.18・約6分で読めます

この記事の結論

広告運用のKPIは、売上や利益の目標(KGI)から逆算して決めます。目標CPAは、1件の成果で得られる粗利から上限(許容CPA)を出し、その範囲で利益を残せる値に置きます。通販のように売上を計測できる場合は、粗利率から損益分岐のROASを出し、それを上回る目標ROASを置きます。

KPIは、売上や利益の目標から逆算して決めます

広告運用のKPI(重要業績評価指標)は、売上や利益の目標(KGI)から逆算して決めます。「CPAは安いほどよい」「ROASは高いほどよい」とだけ考えると、成果の数そのものが減り、事業の目標に届かないことがあるからです。

KPI設計の基本の流れは次のとおりです。

KPI設計の5つの手順
  1. 1

    事業の目標(KGI)を決める

    月の売上、成約数、利益など

  2. 2

    広告で担う分を決める

    目標のうち、広告から何件・いくら生むか

  3. 3

    1件あたりの上限を出す

    粗利から許容CPA、または損益分岐のROASを出す

  4. 4

    目標CPA・目標ROASを決める

    上限から残したい利益を引く

  5. 5

    必要な広告費を出す

    目標の件数 × 目標CPA

計算の流れの例

数字を当てはめると、流れがつかみやすくなります。以下は計算のしかたを示すための例です。

月に成約を20件増やしたい会社で、成約1件の粗利が30万円、問い合わせから成約する割合が10%だとします。成約20件に必要な問い合わせは、20件 ÷ 10% = 200件です。許容CPAは30万円 × 10% = 3万円なので、利益を残すために目標CPAを2万円に置くと、必要な広告費は200件 × 2万円 = 月400万円になります。

この広告費が出せない場合は、目標の件数を下げるか、成約率を上げる(営業の改善)か、粗利を上げる(価格や商品の見直し)かを考えます。広告の数字だけでは解けない問題が、ここで見えてきます。KPI設計の計算は、広告の担当者だけでなく、営業や経営の担当と一緒に行うと、前提の数字(成約率や粗利)のずれを早く直せます。

主な指標と計算式

広告運用でよく使う指標と計算式を整理します。

指標意味計算式
CPA(獲得単価)成果1件あたりの広告費広告費 ÷ コンバージョン数
ROAS(広告費用対効果)広告費に対する売上の割合広告からの売上 ÷ 広告費 × 100%
CVR(コンバージョン率)クリックのうち成果になった割合コンバージョン数 ÷ クリック数 × 100%
CTR(クリック率)表示のうちクリックされた割合クリック数 ÷ 表示回数 × 100%
CPC(クリック単価)クリック1回あたりの広告費広告費 ÷ クリック数

CPA は CPC ÷ CVR と分解することもできます。CPA が悪化したときに、クリックの単価が上がったのか、成果になる割合が下がったのかを切り分けるのに役立ちます。

目標CPAの決め方

目標CPAは、1件の成果から得られる粗利をもとに決めます。これ以上かけると赤字になる上限を許容CPAと呼び、そこから残したい利益を引いた値を目標にします。

商品を直接売る場合

許容CPA = 1件あたりの売上 × 粗利率

たとえば、1回の購入が平均1万円、粗利率が40%なら、許容CPAは4,000円です。1件あたり1,000円の利益を残したいなら、目標CPAは3,000円になります(数字は計算の例です)。

問い合わせ(リード)を集める場合

許容CPA = 成約1件の粗利 × リードから成約する割合

たとえば、成約1件の粗利が30万円、リードの成約率が10%なら、許容CPAは3万円です。リード獲得では、リードの質(成約しやすさ)によって許容CPAが大きく変わるため、営業の数字と一緒に見直すことが大切です。

LTV を使う場合

定期購入やサブスクリプションのように、2回目以降の購入が見込める事業では、1回目の粗利ではなく、LTV(顧客生涯価値)をもとに許容CPAを出す考え方もあります。ただし、回収までの期間が長くなるほど資金の負担が増えるため、何か月で回収するかを先に決めておきます。

目標ROASの決め方

通販のように、広告からの売上を計測できる場合は、ROAS を目標にすることもあります。損益分岐のROASは、粗利率から計算できます。

損益分岐のROAS = 1 ÷ 粗利率 × 100%

粗利率損益分岐のROAS
20%500%
30%約333%
40%250%
50%200%

250%

粗利率40%のときの損益分岐のROAS

1 ÷ 0.4 × 100% で計算。送料や決済手数料を引く前の粗利率の場合

この値を上回るROASを目標にします。送料や決済手数料、返品などがある場合は、それらを引いた粗利で計算します。

自動入札に目標を入れるときの注意点

Google広告では、コンバージョン数の最大化やコンバージョン値の最大化の入札戦略に、目標コンバージョン単価(目標CPA)や目標広告費用対効果(目標ROAS)を設定できます。Meta広告でも、広告セットで1件あたりの費用の目安を設定できる入札の方法があります。

自動入札に目標を入れるときは、次の点に気をつけます。

  1. いまの実績に近い値から始める:実績と大きく離れた目標を入れると、配信が大きく減ることがあります
  2. 少しずつ変える:一度に大きく変えると、学習がやり直しになり、成果が不安定になります
  3. 計測を先に整える:自動入札は計測したコンバージョンをもとに学習します。計測が正しくないと、目標どおりに見えても実際の成果とずれます
  4. 管理画面の目標と事業の目標を分けて考える:管理画面の数字は計測できた分だけです。実際の成約や売上と定期的に突き合わせます

計測の精度を上げる方法は「コンバージョンAPIと拡張コンバージョン」、入札戦略の選び方は「Google広告の自動入札の選び方」で扱います。

中心の指標と補助の指標を分ける

KPIを置くときは、判断に使う中心の指標と、原因を探すための補助の指標を分けておくと、数字を見たときの動き方が決まります。

区分指標の例使い方
中心の指標CPA、ROAS、コンバージョン数目標を達成しているかを判断する。上長や経営との会話もこの数字で行う
補助の指標CTR、CPC、CVR、表示回数、インプレッションシェア中心の指標が動いたときに、どこが原因かを切り分ける
事業の指標成約数、成約率、売上、解約率広告の成果が本当に事業に効いているかを確かめる

たとえば CPA が悪化したときは、まず CPC と CVR のどちらが動いたかを見ます。CPC が上がっていれば競合や入札、CVR が下がっていれば LP や検索語句、計測の不具合を疑う、という順で原因を絞れます。

よくある失敗

KPIは定期的に見直します

KPIは一度決めたら終わりではありません。商品の価格や粗利率、成約率、競合の状況が変われば、許容CPAも変わります。一般的には、四半期に1回ほど、事業の数字と合わせて見直す会社が多いです。

インハウスマーケでできること

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よくある質問

Q. 目標CPAはどうやって決めればよいですか?
1件の成果から得られる粗利をもとに、これ以上かけると赤字になる上限(許容CPA)を出し、そこから残したい利益を引いて決めます。リード獲得の場合は、リードから成約する割合も掛けて計算します。
Q. 損益分岐のROASはどう計算しますか?
粗利率の逆数で求めます。たとえば粗利率が40%なら、1 ÷ 0.4 = 2.5 で、ROAS 250%が損益分岐の目安です。これを上回るROASを目標にします。
Q. KPIは何個くらい置けばよいですか?
判断に使う中心の指標は1〜2個に絞るのが一般的です。CPAかROASを中心に置き、コンバージョン数やクリック率などは、原因を探すための補助の指標として見ます。
Q. 自動入札の目標CPAは、計算した目標をそのまま入れてよいですか?
いまの実績と大きく離れた値を入れると、配信が減ることがあります。一般的には、いまの実績に近い値から始め、成果を見ながら少しずつ目標に近づけます。

参考にした公式の情報

原田 真之

この記事の監修

原田 真之株式会社TUKURO 取締役

サイバーエージェントでインターネット広告事業に11年携わり、累計100社超のマーケティング戦略を立案。売上を最大20倍まで伸ばした実績を持つ。運用型広告の実務と、成果につながる設計を専門とする。

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