「先月まで1件1万円で取れていたのに、今月は1万5千円になっている」。Google広告を運用していると、CPA(コンバージョン単価、獲得単価)が急に悪くなる場面に何度も出会います。このとき、入札や予算をいきなり触ると、かえって状況が分かりにくくなります。原因を順番に確かめていけば、多くの場合はどこで何が起きたかを絞り込めます。
CPAが悪化したら、まず何を見るか
最初に確かめるのは計測が正しく動いているかです。次に、CPAを2つの指標に分けて、どちらが悪くなったかを見ます。
CPAは次の式で表せます。
| 指標 | 式 | 悪くなると |
|---|---|---|
| CPA | 費用 ÷ コンバージョン数 | 上がる |
| クリック単価(CPC) | 費用 ÷ クリック数 | 上がる |
| コンバージョン率(CVR) | コンバージョン数 ÷ クリック数 | 下がる |
CPAは「クリック単価 ÷ コンバージョン率」でもあります。クリック単価が上がったのか、コンバージョン率が下がったのかで、疑う場所がまったく変わります。
原因を確かめる順番
次の順に確かめると、手間の少ないものから原因をつぶせます。
- 計測の不具合:タグが外れた、サンクスページのURLが変わった、フォームを作り直した。コンバージョンが0件の日が急に続く場合は、まずここを疑います
- 自社の変更:変更履歴で、入札戦略・目標CPA・予算・キーワード・広告・配信地域を最近変えていないかを見ます
- 検索語句の変化:検索語句レポートで、成果につながらない語句への表示が増えていないかを見ます
- 競合の動き:オークション分析で、他社の表示シェアや重複率が上がっていないかを見ます
- 広告とLP(ランディングページ):広告の不承認、LPの改修、表示速度の低下、フォームの項目の追加がないかを見ます
- 季節と需要:前年の同じ時期にも同じ動きがあったか、商品の在庫や価格を変えていないかを見ます
クリック単価が上がったときの原因と対応
クリック単価が上がっている場合は、オークションで払う金額が増えています。主な原因と対応は次のとおりです。
| 原因 | 確かめ方 | 対応の例 |
|---|---|---|
| 入札や目標CPAを上げた | 変更履歴 | 変更の前後で成果を比べ、戻すかを決める |
| 競合が増えた・入札を上げた | オークション分析 | 勝ちやすい語句や時間帯に予算を寄せる |
| 広告の品質が下がった | 品質スコア・推定クリック率 | 広告文と検索語句の一致を見直す |
| 自動入札が上位表示を狙っている | 入札戦略のレポート | 目標の値が実態と合っているか見直す |
競合が強くなっている場合、自社だけで単価を下げるのは難しいことがあります。そのときは、成果の出ている語句・地域・時間帯に予算を寄せ、成果の悪いところを絞るほうが現実的です。
コンバージョン率が下がったときの原因と対応
コンバージョン率が下がっている場合は、クリックしたあとに申し込まない人が増えています。原因は広告の外にあることも多いです。
- 検索語句がずれた:部分一致(日本語のヘルプでは「インテント マッチ」)のキーワードや自動入札で、意図と違う検索に表示されていないか。検索語句レポートで確かめ、関係のない語句は除外キーワードにします
- LPを変えた:デザインの変更、フォームの項目の追加、表示速度の低下。変えた日とコンバージョン率の変化の日が重なっていないかを見ます
- 商品の条件が変わった:価格の改定、在庫切れ、キャンペーンの終了。広告は同じでも、比べた結果として選ばれなくなります
- 配信先が広がった:検索パートナーやディスプレイへの配信、配信地域や時間帯の拡大
自動入札を使っているときの注意
目標CPAやコンバージョン数の最大化などの自動入札では、Google がオークションごとに入札を決めます。設定の変更や大きな予算の変更のあとは、学習の期間に入り、しばらく成果がぶれることがあります。入札戦略のステータスで、学習中かどうかを確認できます。
学習中にさらに設定を変えると、学習がやり直しになります。CPAが悪化しても、学習中であれば、変更は1つずつ・間をあけて行うのが基本です。また、自動入札はコンバージョンのデータを頼りに入札するため、計測が壊れていると入札そのものがずれます。ここでも計測の確認が先です。
見落としやすい原因
上の順番で確かめても原因が見つからないときは、次のような見落としがないかを確かめます。
- コンバージョンの数え方を変えた:コンバージョン アクションの追加や、「メインのアクション」に含めるかの設定を変えると、CPAの分母が変わります。入札にも影響します
- コンバージョンの計上の遅れ:コンバージョンは、クリックした日に計上されます。直近の数日はあとから成果が増えることがあるため、昨日や一昨日のCPAは高く見えがちです
- 端末や地域の偏り:全体では分からなくても、スマートフォンだけ、特定の地域だけでCPAが悪くなっていることがあります。端末別・地域別に分けて見ると見つかることがあります
- 広告の配信が一部止まっている:成果のよかった広告が不承認や在庫切れで止まり、残った広告だけで配信されている
悪化に早く気づく仕組み
CPAの悪化は、気づくのが遅れるほど無駄な費用が積み上がります。月末のレポートで初めて気づくと、1か月分の費用が戻りません。
早く気づくには、毎日か毎週、決まった指標を前の期間と比べることです。費用・コンバージョン数・CPA・クリック単価・コンバージョン率を、直近7日と前の7日で並べて、大きく動いたものだけを詳しく見ます。担当が兼任でも、見る指標と基準を決めておけば短い時間で済みます。
対応するときによくある失敗
原因が分かっても、対応のしかたで遠回りになることがあります。よく見られる失敗と防ぎ方をまとめます。
| よくある失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 複数の設定を同時に変える | どの変更が効いたのか分からず、次に同じことが起きたときに使えない | 変更は1つずつ行い、日付と内容を記録する |
| 全体の平均だけを見て判断する | 一部のキャンペーンや端末の悪化が、ほかの好調に隠れる | キャンペーン別・端末別・地域別に分けて見る |
| 前日と比べて一喜一憂する | コンバージョンの計上の遅れやぶれに振り回される | 直近7日と前の7日など、同じ長さの期間で比べる |
| 悪いキーワードを止めすぎる | 成果につながっていた語句まで止めて、件数が減る | 止める前に、期間を延ばしてコンバージョンの実績を確かめる |
| 原因が広告の外にあるのに広告だけを直す | LPや商品の条件の変化が放っておかれ、数字が戻らない | サイトや営業の担当とも、最近の変更を共有する |
対応したあとは、変更の前と後で同じ長さの期間を比べて、CPAが戻ったかを確かめます。戻らない場合は、確かめる順番の表に戻って、次の候補を調べます。
インハウスマーケでできること
インハウスマーケのインハウスAIは、Google広告・Meta広告を毎朝点検し、コンバージョンの急な減少やCPAの悪化、成果の悪いキャンペーン、コンバージョンのない検索語句などを見つけて、Slack・Chatwork・Google Chat・メールで提案します。原因の判断と対応は担当者が行い、承認したものだけが反映されます。料金は月5万円(税別)からです。


