代理店を見直そうとしたときに、「広告アカウントが代理店のもので、引き継げないと言われた」と分かることがあります。広告アカウントには、過去の成果のデータや自動入札の学習がたまっています。この記事では、Google広告とMeta広告で、アカウントの所有を確かめる方法と、自社で持つための手順をまとめます。
広告アカウントは広告主が所有し、代理店にはアクセス権を渡すのが基本
広告アカウントは、広告主が自社で所有し、代理店にはアクセス権だけを渡す形が基本です。こうしておけば、代理店を変えても、アカウントと過去のデータは手元に残ります。
代理店名義のアカウントで困りやすいのは、次の3点です。
| 困ること | 理由 |
|---|---|
| 過去のデータを持ち出せない | 成果の履歴やレポートが代理店の側に残る |
| 自動入札の学習が消える | 新しいアカウントでは、学習が一からやり直しになる |
| 計測の設定を作り直す | コンバージョンやオーディエンスの設定を一から作ることになる |
代理店がアカウントを作ること自体は珍しくありません。大事なのは、作ったあとに自社が所有する形になっているかどうかです。
Google広告で所有を確かめる方法
Google広告では、アカウントに対する権限は「ユーザー」と「マネージャー アカウント(MCC)」の2つの経路で持たれます。
ユーザーの権限
アカウントの「アクセスとセキュリティ」で、誰がどの権限を持っているかを確かめられます。権限には、管理者・標準・読み取り専用・メール専用などの種類があります。自社の Google アカウントに「管理者」の権限があれば、ユーザーの追加や削除を自社で行えます。
マネージャー アカウントとのリンク
代理店は一般的に、自社のマネージャー アカウント(MCC)に広告主のアカウントをリンクして運用します。Google の資料では、1つの広告アカウントは最大5つのマネージャー アカウントにリンクできるとされています。リンクはマネージャー アカウントの側から依頼し、広告アカウントの側が承認する仕組みです。
確かめる手順
- 自社の Google アカウントで広告アカウントにログインできるか
- 『アクセスとセキュリティ』で、自社のユーザーの権限が『管理者』か
- 同じ画面で、どのマネージャー アカウントにリンクされているか
- お支払いの設定が自社の名義か、代理店の請求にまとめられているか
Meta広告で所有を確かめる方法
Meta広告(Facebook・Instagram 広告)では、広告アカウントやFacebook ページ、Instagram アカウント、ピクセル(データセット)などの資産を、ビジネスポートフォリオ(旧ビジネスマネージャ)で管理します。
資産の持ち方には「所有」と「パートナーとしてのアクセス」の2つがあります。代理店に権限を渡すときは、自社のビジネスポートフォリオから、代理店のビジネスIDを指定して「パートナー」としてアクセスを共有するのが一般的です。この場合、代理店がフルの権限を持っていても、資産の所有者は自社のビジネスポートフォリオのままです。
確かめる手順
- 自社のビジネスポートフォリオの「ビジネス設定」を開きます
- 「アカウント」の「広告アカウント」で、対象のアカウントが一覧にあり、所有していると表示されるかを確かめます
- 「パートナー」で、代理店がどの資産にどの権限を持っているかを確かめます
- ピクセル(データセット)やFacebook ページ、Instagram アカウントも同じように確かめます
広告アカウントの所有をビジネスポートフォリオの間で後から移すのは、Google広告ほど簡単ではありません。代理店のビジネスポートフォリオが所有している場合は、代理店に協力してもらい、Meta ビジネスヘルプセンターの最新の手順で移せるかを確かめながら進めます。移せない場合は、自社で新しい広告アカウントを作り、計測の設定から積み直すことになります。
代理店名義から自社に移す手順
代理店名義だと分かったときは、次の順で進めます。
- 1
契約書を確かめる
アカウントやデータの所有、契約終了後の扱いについての取り決めを確かめます
- 2
代理店に相談する
『社内でも状況を見たい』『将来の体制のために自社で持ちたい』と目的を伝えます
- 3
Google広告を移す
自社の Google アカウントを管理者として招待してもらい、承認します。お支払いの設定も自社に切り替えます
- 4
Meta広告を確かめる
所有を移せるかを代理店と確かめます。難しい場合は、自社のビジネスポートフォリオで新しいアカウントを作る時期を決めます
- 5
計測の資産も確かめる
GA4、Google タグ マネージャー、コンバージョンの設定、Meta ピクセル、コンバージョンAPI(CAPI)が誰のアカウントにあるかを確かめ、自社のものにします
- 6
権限を整理する
代理店には、運用に必要な権限だけを渡す形に整えます
順番で大事なのは、契約書の確認と代理店への相談を先に済ませることです。いきなり権限の変更を頼むと、代理店の側も社内の確認に時間がかかり、話が進みにくくなります。目的と時期を先に共有しておくと、移す作業そのものは短い期間で終わることが多くなります。
代理店との関係を続ける場合でも、所有を自社に移しておけば、運用はこれまでどおり任せられます。所有を移すことは、代理店を変えることと同じではありません。
権限の持ち方の早見表
自社と代理店で、どの権限を持つのが一般的かをまとめます。
| 対象 | 自社 | 代理店 |
|---|---|---|
| Google広告のアカウント | 自社の Google アカウントに管理者の権限 | マネージャー アカウント(MCC)からのリンク、または運用に必要な権限 |
| Google広告のお支払い | 自社のお支払いプロファイル(立て替えの契約でない場合) | 必要に応じて閲覧 |
| GA4・Google タグ マネージャー | 自社のアカウントで所有し、管理者の権限 | 必要な範囲の編集・閲覧 |
| Meta の広告アカウント | 自社のビジネスポートフォリオで所有 | パートナーとしてのアクセス |
| Meta ピクセル(データセット) | 自社のビジネスポートフォリオで所有 | パートナーとしてのアクセス |
| Facebook ページ・Instagram アカウント | 自社のビジネスポートフォリオで所有 | 広告の配信に必要な権限 |
退職した社員の個人アカウントだけが管理者になっている、という状態にも気をつけてください。管理者の権限は、会社のメールアドレスの Google アカウントなどで、2人以上に持たせておくと安心です。
これから代理店に頼む場合の決め方
新しく代理店に運用を頼む場合は、最初に次のことを決めておくと、後で困りません。
- 広告アカウントは自社の Google アカウント・ビジネスポートフォリオで作り、代理店には権限を渡す
- 自社のユーザーに管理者の権限を残す
- 計測のタグやコンバージョンの設定も、自社のアカウントで作る
- 契約書に、アカウントとデータの所有、契約終了時の扱いを書く
よくある失敗と防ぎ方
所有の確認や移管でつまずきやすい場面を、あらかじめ知っておくと手戻りを減らせます。
| よくある失敗 | 防ぎ方 |
|---|---|
| 管理者が退職した担当者の個人アカウントだけで、誰も権限を変えられない | 会社のメールアドレスのアカウントで、管理者を2人以上にしておく |
| 広告アカウントは自社に移したが、コンバージョンのタグが代理店の Google タグ マネージャーに残っていた | 広告アカウントと一緒に、GA4・タグ マネージャー・ピクセルの持ち主も一覧にして確かめる |
| 代理店との契約が終わる直前に話を始め、引き継ぎが間に合わない | 契約の更新月の2〜3か月前を目安に、所有と権限の確認を始める |
| Meta広告で新しいアカウントを作ったが、ピクセルを作り直したため過去のデータとつながらない | ピクセル(データセット)の所有を先に確かめ、移せるものは移してから新しいアカウントにつなぐ |
| お支払いの設定の切り替えを忘れ、広告が止まった | 切り替えの日を決め、新しいお支払いの設定が有効になってから旧い設定を外す |
どれも、移す前に「何がどこにあるか」を一覧にしておけば防げるものです。広告アカウント、計測のアカウント、ページやプロフィール、お支払いの4つに分けて、持ち主と権限を表にまとめておくと、代理店との話し合いにもそのまま使えます。
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