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体制と人材

広告担当が兼任でも回る運用の仕組み|時間の配分と決めること

藤井 俊祐

監修 藤井 俊祐(株式会社TUKURO 代表取締役)

公開 2026.10.16/更新 2026.10.18・約6分で読めます

この記事の結論

兼任の広告担当が運用を回すには、作業を毎日・毎週・毎月に分け、毎日は異常がないかを確かめるだけに絞ることが要点です。判断の基準(許容CPA・予算の上限・止める条件)を先に決めておけば、迷う時間が減ります。点検や定型作業はツールやAIで軽くし、人は判断と改善の時間を確保します。

結論:毎日は「異常がないか」だけ。改善は週に一度まとめて

兼任の広告担当が運用を回すコツは、毎日やることを異常の確認だけに絞り、改善の作業は週に一度まとめて行うことです。広告運用の作業は細かく見ればきりがありませんが、毎日必要なのは「大きな問題が起きていないか」の確認で、ほとんどの改善は週単位で十分です。

兼任の担当者がつまずきやすいのは、時間が足りないことそのものより、何をどの頻度でやるかが決まっていないことです。

兼任の運用でよく起きること

兼任の担当者の現場では、次のようなことがよく起きます。

どれも、担当者の能力ではなく仕組みがないことが原因です。

作業を頻度で分ける

まず、運用の作業を頻度で分けます。

頻度やること時間の目安の考え方
毎日成果の急な変化、予算の消化ペース、止まった広告の確認決まった時間に短く。異常がなければ終わり
毎週検索語句の確認と除外キーワードの追加、成果の悪いキャンペーンの見直し、広告の疲弊の確認週に一度まとまった時間をとる
毎月月の振り返り、目標との差の確認、予算配分の見直し、新しい広告やLPの準備月初に計画、月末に振り返り
四半期ごと目標CPA・予算の見直し、計測の点検、体制や外部委託の見直し上長や経営と話す

毎日の確認項目の具体例は「広告運用の毎日のチェック項目」で詳しく扱っています。

1週間の流れの例

頻度ごとの作業を、兼任の担当者の1週間に当てはめると、たとえば次のような流れになります。曜日や時間は、本業の予定に合わせて決めます。

いつやること
毎朝(始業後すぐなど)毎日の確認項目を見る。異常がなければ終わり。異常があれば、その日のうちに対応するか、上長に相談する
週の前半のまとまった時間検索語句の確認と除外キーワードの追加、成果の悪いキャンペーンの見直し、広告の疲弊の確認
週の後半翌週に試すこと(新しい広告文、LPの修正など)を準備する
週に一度の短い報告上長に、今週の数字と変えたこと、来週やることを共有する

大切なのは、決まった時間に、決まった項目を見ることです。気になったときに管理画面を開く運用だと、忙しい週に確認が抜け、余裕のある週には触りすぎる、という波が生まれます。

判断の基準を先に決めておく

兼任の担当者の時間を一番奪うのは、迷うことです。数字を見るたびに「これはまずいのか」を考えなくて済むように、判断の基準を先に決めておきます。

先に決めておく5つの判断の基準
  • 許容できるCPA(またはROAS):事業の収支から決めた上限
  • 月の予算の上限:超えてはいけない金額と、使い残してよいかどうか
  • 止める条件:たとえば『費用が許容CPAの何倍か使われてもコンバージョンがない広告は止める』
  • 相談する条件:予算を大きく変える、新しい媒体を始めるなど、上長の判断が要ること
  • 触らない期間:自動入札の切り替え後など、学習期間中は設定を変えない

基準があれば、毎日の確認は「基準を外れていないか」を見るだけになり、判断の時間が大きく減ります。

手放してよい作業

兼任で時間が限られるなら、人がやらなくてよい作業は手放します。

作業手放し方
入札単価の細かな調整媒体の自動入札に任せる
毎日の数字の確認ツールやAIの点検と通知に任せ、異常があったときだけ見る
定型のレポート作成管理画面の定期レポートや、Looker Studio などのダッシュボードで自動化する
広告素材の制作社内のデザイナーや外部の制作会社に頼む
計測の設定最初の整備は専門家に頼み、変更の手順を教わる

反対に、手放さない方がよいのは、目標と予算の判断、何を成果とするかの判断、訴求の方向性です。ここは事業を知っている社内の人が持つべき部分です。

属人化を防ぐ

兼任の運用は、担当者1人に頼りがちです。次の3つで、運用が止まらない状態をつくります。

  1. アカウントの権限を2人以上に:広告アカウントの管理者を会社として持ち、担当者以外にも閲覧以上の権限を渡しておく
  2. 作業と基準を文書に:頻度ごとの作業と判断の基準を1つの文書にまとめる
  3. 通知を共有の場に:異常の通知を個人のメールではなく、チームのチャットに届ける

外部の力を借りる範囲

兼任で回す場合も、すべてを社内でやる必要はありません。毎日の点検はツールやAIに、専門的な制作や計測は外部の専門家に、と作業ごとに借りる力を決めると、担当者は判断と改善に時間を使えます。代理店に一部を任せながら社内で判断を持つ「ハイブリッド」の形もあります。

兼任で回せるかどうかは、広告費の額より、作業の種類と量で決まります。目安として、次のように考えると判断しやすくなります。

兼任で回しやすい状態兼任では手が回りにくい状態
媒体が1〜2つで、キャンペーンの数が少ない媒体が多く、商品や地域ごとにキャンペーンが分かれている
広告素材の入れ替えが月に数回程度新しい広告素材を毎週のように作る必要がある
計測の設定がすでに整っている計測の整備やLPの改修がこれから必要

右側に近い場合は、作業の一部を外部に頼むか、担当者の本業の量を減らすことを上長と相談します。

仕組みづくりの始め方

仕組みは一度に全部そろえようとすると、それ自体が負担になります。兼任の担当者でも進めやすい順番は次のとおりです。

兼任の運用を仕組みにする順番
  1. 1

    基準を書く

    許容CPA・予算の上限・止める条件を1枚にまとめ、上長の了承をとる

  2. 2

    毎日の項目を絞る

    毎日見る項目を3〜5個に決め、見る時間を予定表に入れる

  3. 3

    週の作業を固定する

    検索語句の確認などの週の作業を、曜日と手順ごと決める

  4. 4

    通知を共有の場へ

    異常の通知をチームのチャットに届くようにし、権限を2人以上に渡す

  5. 5

    1か月後に見直す

    続けられたか、抜けた項目はないかを振り返り、項目と頻度を直す

最初の1か月は、決めた手順が本当に続けられるかを確かめる期間と考えます。続かなかった作業は、頻度を下げるか、手放せないかを見直します。

上長への週の報告は短く決まった形で

兼任の担当者は、上長への報告にも時間をとられがちです。報告の形を決めておくと、書く時間が減り、上長も毎週同じ見方で数字を確かめられます。たとえば次の4つだけを書きます。

書くこと例
今週の数字費用・コンバージョン数・CPA と、先週との比較
変えたこと除外キーワードの追加、広告文の差し替えなど
気になること基準を外れた数字と、その理由の見立て
来週やること試すことと、判断がほしいこと

報告を数字の羅列にせず、「変えたこと」と「判断がほしいこと」を毎回添えると、上長が口を出すべき場面がはっきりし、担当者が1人で抱え込むことも減ります。

よくある失敗

インハウスマーケでできること

インハウスマーケのインハウスAIは、Google広告と Meta広告を毎朝点検し、成果の急な変化、予算の消化ペース、止まった広告などを見つけて、やることを Slack・Chatwork・Google Chat・メールに届けます。届ける時間や平日だけにするかも選べるので、兼任の担当者が決まった時間に提案を見て、承認か見送りを決める使い方ができます。料金は月5万円(税別)から、初期費用なし、最低1か月です。社内の体制づくりから伴走が必要な場合は、インハウスプログラムもあります。

よくある質問

Q. 兼任の担当者は1日にどのくらい広告運用に時間を使えばよいですか?
決まった基準はありません。アカウントの規模や媒体の数によって変わります。大切なのは時間の長さより、毎日見る項目を絞り、決まった時間に確かめる習慣をつくることです。改善の作業は、週に一度まとまった時間をとる方が進めやすくなります。
Q. 兼任だと代理店に任せた方がよいですか?
一概には言えません。社内で判断できる人がいて、毎日の点検を仕組みにできれば兼任でも回せます。一方、制作や計測の整備など専門的な作業が多い場合は、その部分だけ外部に頼む方が合うこともあります。
Q. 担当者が休んだり異動したりしたらどうなりますか?
作業の手順や判断の基準が担当者の頭の中にしかないと、運用が止まります。チェック項目・判断の基準・アカウントの権限を文書と仕組みで共有し、2人以上がアカウントを見られる状態にしておくことが対策です。
Q. 兼任でも運用の質を落とさないコツはありますか?
媒体の自動入札や自動化の機能を使い、手で細かく調整する作業を減らすことです。そのうえで、計測が正しいか、目標に沿っているかの確認に時間を使います。触る回数を減らすことが、自動入札の学習を安定させることにもつながります。

参考にした公式の情報

藤井 俊祐

この記事の監修

藤井 俊祐株式会社TUKURO 代表取締役

サイバーエージェントで年間売上200億円規模の広告事業の部署を統括。デジタルマーケティングの経験は15年以上、累計100サービス以上を支援。いまは広告運用のインハウス化を第三者の立場で支援している。

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