結論:毎日は「異常がないか」だけ。改善は週に一度まとめて
兼任の広告担当が運用を回すコツは、毎日やることを異常の確認だけに絞り、改善の作業は週に一度まとめて行うことです。広告運用の作業は細かく見ればきりがありませんが、毎日必要なのは「大きな問題が起きていないか」の確認で、ほとんどの改善は週単位で十分です。
兼任の担当者がつまずきやすいのは、時間が足りないことそのものより、何をどの頻度でやるかが決まっていないことです。
兼任の運用でよく起きること
兼任の担当者の現場では、次のようなことがよく起きます。
- 本業が忙しい週は管理画面を開かず、配信が止まっていたことに数日後に気づく
- 数字を見ても、良いのか悪いのか判断できず、何もしないまま月末になる
- 気になるたびに入札や予算を触り、自動入札が学習中のまま安定しない
- 担当者しか分からない設定が増え、休みや異動で運用が止まる
どれも、担当者の能力ではなく仕組みがないことが原因です。
作業を頻度で分ける
まず、運用の作業を頻度で分けます。
| 頻度 | やること | 時間の目安の考え方 |
|---|---|---|
| 毎日 | 成果の急な変化、予算の消化ペース、止まった広告の確認 | 決まった時間に短く。異常がなければ終わり |
| 毎週 | 検索語句の確認と除外キーワードの追加、成果の悪いキャンペーンの見直し、広告の疲弊の確認 | 週に一度まとまった時間をとる |
| 毎月 | 月の振り返り、目標との差の確認、予算配分の見直し、新しい広告やLPの準備 | 月初に計画、月末に振り返り |
| 四半期ごと | 目標CPA・予算の見直し、計測の点検、体制や外部委託の見直し | 上長や経営と話す |
毎日の確認項目の具体例は「広告運用の毎日のチェック項目」で詳しく扱っています。
1週間の流れの例
頻度ごとの作業を、兼任の担当者の1週間に当てはめると、たとえば次のような流れになります。曜日や時間は、本業の予定に合わせて決めます。
| いつ | やること |
|---|---|
| 毎朝(始業後すぐなど) | 毎日の確認項目を見る。異常がなければ終わり。異常があれば、その日のうちに対応するか、上長に相談する |
| 週の前半のまとまった時間 | 検索語句の確認と除外キーワードの追加、成果の悪いキャンペーンの見直し、広告の疲弊の確認 |
| 週の後半 | 翌週に試すこと(新しい広告文、LPの修正など)を準備する |
| 週に一度の短い報告 | 上長に、今週の数字と変えたこと、来週やることを共有する |
大切なのは、決まった時間に、決まった項目を見ることです。気になったときに管理画面を開く運用だと、忙しい週に確認が抜け、余裕のある週には触りすぎる、という波が生まれます。
判断の基準を先に決めておく
兼任の担当者の時間を一番奪うのは、迷うことです。数字を見るたびに「これはまずいのか」を考えなくて済むように、判断の基準を先に決めておきます。
- 許容できるCPA(またはROAS):事業の収支から決めた上限
- 月の予算の上限:超えてはいけない金額と、使い残してよいかどうか
- 止める条件:たとえば『費用が許容CPAの何倍か使われてもコンバージョンがない広告は止める』
- 相談する条件:予算を大きく変える、新しい媒体を始めるなど、上長の判断が要ること
- 触らない期間:自動入札の切り替え後など、学習期間中は設定を変えない
基準があれば、毎日の確認は「基準を外れていないか」を見るだけになり、判断の時間が大きく減ります。
手放してよい作業
兼任で時間が限られるなら、人がやらなくてよい作業は手放します。
| 作業 | 手放し方 |
|---|---|
| 入札単価の細かな調整 | 媒体の自動入札に任せる |
| 毎日の数字の確認 | ツールやAIの点検と通知に任せ、異常があったときだけ見る |
| 定型のレポート作成 | 管理画面の定期レポートや、Looker Studio などのダッシュボードで自動化する |
| 広告素材の制作 | 社内のデザイナーや外部の制作会社に頼む |
| 計測の設定 | 最初の整備は専門家に頼み、変更の手順を教わる |
反対に、手放さない方がよいのは、目標と予算の判断、何を成果とするかの判断、訴求の方向性です。ここは事業を知っている社内の人が持つべき部分です。
属人化を防ぐ
兼任の運用は、担当者1人に頼りがちです。次の3つで、運用が止まらない状態をつくります。
- アカウントの権限を2人以上に:広告アカウントの管理者を会社として持ち、担当者以外にも閲覧以上の権限を渡しておく
- 作業と基準を文書に:頻度ごとの作業と判断の基準を1つの文書にまとめる
- 通知を共有の場に:異常の通知を個人のメールではなく、チームのチャットに届ける
外部の力を借りる範囲
兼任で回す場合も、すべてを社内でやる必要はありません。毎日の点検はツールやAIに、専門的な制作や計測は外部の専門家に、と作業ごとに借りる力を決めると、担当者は判断と改善に時間を使えます。代理店に一部を任せながら社内で判断を持つ「ハイブリッド」の形もあります。
兼任で回せるかどうかは、広告費の額より、作業の種類と量で決まります。目安として、次のように考えると判断しやすくなります。
| 兼任で回しやすい状態 | 兼任では手が回りにくい状態 |
|---|---|
| 媒体が1〜2つで、キャンペーンの数が少ない | 媒体が多く、商品や地域ごとにキャンペーンが分かれている |
| 広告素材の入れ替えが月に数回程度 | 新しい広告素材を毎週のように作る必要がある |
| 計測の設定がすでに整っている | 計測の整備やLPの改修がこれから必要 |
右側に近い場合は、作業の一部を外部に頼むか、担当者の本業の量を減らすことを上長と相談します。
仕組みづくりの始め方
仕組みは一度に全部そろえようとすると、それ自体が負担になります。兼任の担当者でも進めやすい順番は次のとおりです。
- 1
基準を書く
許容CPA・予算の上限・止める条件を1枚にまとめ、上長の了承をとる
- 2
毎日の項目を絞る
毎日見る項目を3〜5個に決め、見る時間を予定表に入れる
- 3
週の作業を固定する
検索語句の確認などの週の作業を、曜日と手順ごと決める
- 4
通知を共有の場へ
異常の通知をチームのチャットに届くようにし、権限を2人以上に渡す
- 5
1か月後に見直す
続けられたか、抜けた項目はないかを振り返り、項目と頻度を直す
最初の1か月は、決めた手順が本当に続けられるかを確かめる期間と考えます。続かなかった作業は、頻度を下げるか、手放せないかを見直します。
上長への週の報告は短く決まった形で
兼任の担当者は、上長への報告にも時間をとられがちです。報告の形を決めておくと、書く時間が減り、上長も毎週同じ見方で数字を確かめられます。たとえば次の4つだけを書きます。
| 書くこと | 例 |
|---|---|
| 今週の数字 | 費用・コンバージョン数・CPA と、先週との比較 |
| 変えたこと | 除外キーワードの追加、広告文の差し替えなど |
| 気になること | 基準を外れた数字と、その理由の見立て |
| 来週やること | 試すことと、判断がほしいこと |
報告を数字の羅列にせず、「変えたこと」と「判断がほしいこと」を毎回添えると、上長が口を出すべき場面がはっきりし、担当者が1人で抱え込むことも減ります。
よくある失敗
- 全部を毎日見ようとする:項目が多いと続かず、結局何も見ない日が増えます。毎日は異常の確認だけにします
- 基準を担当者だけが知っている:上長と認識がずれ、数字の良し悪しをめぐる説明に時間をとられます
- 成果が悪い週にあわてて設定を大きく変える:自動入札の学習がやり直しになり、さらに不安定になることがあります。変えるのは基準を外れたときだけにします
- 改善の時間をとらない:毎日の確認だけで手一杯になると、検索語句の整理や広告の入れ替えが進みません。週に一度の時間を予定表で先に押さえます
インハウスマーケでできること
インハウスマーケのインハウスAIは、Google広告と Meta広告を毎朝点検し、成果の急な変化、予算の消化ペース、止まった広告などを見つけて、やることを Slack・Chatwork・Google Chat・メールに届けます。届ける時間や平日だけにするかも選べるので、兼任の担当者が決まった時間に提案を見て、承認か見送りを決める使い方ができます。料金は月5万円(税別)から、初期費用なし、最低1か月です。社内の体制づくりから伴走が必要な場合は、インハウスプログラムもあります。


