「代理店に払っている手数料は、世の中と比べて高いのか」。広告費が月数百万円を超えてくると、経営会議でこの問いが出てきます。この記事では、運用型広告(Google広告・Meta広告など)の代理店手数料の相場と、その数字を自社にあてはめるときの見方をまとめます。
広告代理店の手数料の相場は広告費の20%前後
運用型広告の代理店手数料(マージン)は、一般的に広告費の20%前後が目安とされています。運用代行会社などが公開している解説でも、定率制の20%を最も一般的な形として紹介しているものが多く、法令や公的な統計で決まった数字ではありません。
20%前後
運用型広告の代理店手数料(定率制)の一般的な目安
運用代行会社などの公開解説で多く見られる水準。法令や公的な統計で決まった数字ではありません
予算の大きさによっても目安は変わります。
| 月の広告費 | 料率の目安 | よくある形 |
|---|---|---|
| 数十万円まで | 20%前後、または最低手数料 | 最低手数料(月数万円)を設けることが多い |
| 数百万円 | 15〜20%前後 | 定率制が中心 |
| 1,000万円以上 | 交渉で15%前後が目安 | 定率の段階制、固定費との組み合わせ |
フリーランスや小規模な運用会社に直接頼む場合は、10〜15%前後や月額固定の形で、代理店より低く設定されることもあります。いずれも「目安」であり、作業の範囲によって適正な金額は変わります。
手数料の料金体系は3種類ある
代理店の料金体系は、大きく分けると次の3つです。
| 料金体系 | 決め方 | 向いている場面 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 定率制 | 広告費の◯%(例:20%) | 広告費が月ごとに変わる | 広告費を増やすほど手数料も増える |
| 固定報酬制 | 月額◯万円 | 広告費が安定している | 作業範囲の取り決めがあいまいになりやすい |
| 成果報酬制 | 1件のコンバージョンあたり◯円など | 成果の定義がはっきりしている | 成果の定義と計測方法でもめやすい |
日本では定率制が最も多く見られます。定率制は分かりやすい一方で、広告費を増やすと手数料も自動的に増えるため、「広告費を増やしたい代理店」と「費用対効果を上げたい広告主」の向きがずれることがある、という点は知っておくとよいでしょう。これは代理店の良し悪しではなく、料金体系そのものの性質です。
料率だけでは比べられない3つの理由
同じ「20%」でも、実際の負担は契約によって変わります。比べるときは、次の3点を確かめてください。
1. 計算の基準が広告費か、請求総額か
「広告費100万円に対して20%(手数料20万円・合計120万円)」と、「請求総額100万円のうち20%が手数料(広告費80万円・手数料20万円)」では、媒体に流れる広告費に対する実質の料率が違います。後者は 20÷80=25% です。
2. 最低手数料があるか
最低手数料が月5万円で料率20%なら、広告費25万円を下回ると実質の料率が上がります。広告費20万円なら25%、10万円なら50%です。
3. 別料金の作業があるか
初期設定費、バナーや動画の制作費、ランディングページの改修、計測タグの設定、レポートの追加などが別料金になっている場合、手数料の料率が低くても総額は高くなります。
手数料に含まれることが多い作業と、別料金になりやすい作業
手数料で何をしてもらえるかは、代理店ごとに違います。一般的には、次のように分かれることが多いです。
| 区分 | 作業の例 |
|---|---|
| 手数料に含まれることが多い | 入札・予算の調整、キーワードと除外キーワードの管理、広告文の入れ替え、月次レポート、定例会 |
| 別料金になりやすい | アカウントの初期設定、バナー・動画の制作、ランディングページの制作や改修、計測タグの設定、新しい媒体の立ち上げ |
| 契約によって違う | 広告文の作成本数、レポートの頻度、競合の調査、拡張コンバージョンやコンバージョンAPI(CAPI)の設定 |
同じ料率でも、含まれる作業が多い代理店と少ない代理店では、実際の価値が違います。相見積もりでは、料率と一緒に作業の一覧も並べてください。
広告費が増えると、手数料の総額はどう変わるか
定率制では、広告費に比例して手数料の総額が増えます。料率20%の場合の目安は次のとおりです。
| 月の広告費 | 月の手数料(20%) | 年間の手数料 |
|---|---|---|
| 100万円 | 20万円 | 240万円 |
| 500万円 | 100万円 | 1,200万円 |
| 1,000万円 | 200万円 | 2,400万円 |
| 1,500万円 | 300万円 | 3,600万円 |
広告費が月1,000万円を超えると、手数料は年間で数千万円になります。一方で、運用の作業量は広告費に比例して増えるわけではありません。広告費が大きい会社ほど、料率の見直しや、運用の一部を社内に移す選択肢が意味を持ちやすくなります。
自社の手数料が適正かを確かめる手順
手数料が高いか安いかは、金額だけでなく「その金額で何をしてもらっているか」で決まります。次の順で確かめると、話し合いの材料がそろいます。
- 1
年間の総額を出す
直近12か月の請求書から、広告費と手数料・その他の費用を分けて合計します
- 2
作業の中身を書き出す
毎月の作業(入札や予算の調整、広告文の入れ替え、検索語句の除外、レポート、定例会など)を、契約書と実際の両方から一覧にします
- 3
広告の管理画面を自分で見る
広告アカウントの閲覧権限をもらい、変更履歴でどのくらいの頻度で手が入っているかを確かめます
- 4
成果の推移を見る
CPA(獲得単価)やROAS(広告費用対効果)が、半年・1年でどう動いたかを確かめます
- 5
同じ条件で相見積もりを取る
作業範囲をそろえたうえで、他社や内製化の場合と比べます
変更履歴を見ると、運用の手の入り方がある程度分かります。ただし、変更の回数が多いほど良いわけではありません。自動入札が中心の運用では、あえて触らないことが正しい場面もあります。
代理店に任せたままの方がよい場合
手数料を払っていても、代理店に任せる方が合理的な場合はあります。
- 社内に広告の担当者を置く余力がなく、当面も採用の予定がない
- 広告費が小さく、社内の人件費の方が手数料より高くつく
- テレビ・交通広告などのマス広告とまとめて任せており、媒体の買い付けで代理店の力が生きている
- 新しい媒体や大規模なキャンペーンの立ち上げで、短期間に多くの専門知識が必要
一方で、広告費が大きくなり、手数料の総額が社内で1〜2人の担当者を置ける水準を超えている場合は、運用の一部または全部をインハウス化(内製化)する選択肢を比べる価値があります。どちらが良いかは、会社の体制と目的によって変わります。
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