インハウス化の費用は5つに分けて考えます
広告運用をインハウス化(内製化)したときの費用は、人件費・教育・ツール・制作・外部支援の5つに分けて考えます。代理店に払っていた手数料(マージン)が減る代わりに、これらの費用がかかります。
| 費用 | 内容 | 見積もりのポイント |
|---|---|---|
| 人件費 | 運用担当者の給与・社会保険料など | 専任か兼任か。兼任なら広告に使う時間の割合で按分する |
| 採用・教育 | 採用の費用、研修、書籍、外部の講座 | 未経験者を育てる場合は、育成の期間も見込む |
| ツール | 分析・レポート・入札管理などのツール | 管理画面だけで足りるか、別のツールが要るか |
| 制作 | 広告文・バナー・動画・LP の制作 | 代理店の手数料に含まれていたかを確かめる |
| 外部支援 | 伴走・研修・ツール型のインハウス支援、外部人材 | 月額か都度か、最低契約期間 |
Google広告やMeta広告の管理画面を使うこと自体には、広告費のほかの利用料はかかりません。
代理店の費用を正しく出す
比べる前に、いまの代理店の費用を正しく出します。手数料だけでなく、ほかの名目で払っている費用も含めます。
20%前後
国内の広告代理店の運用手数料の一般的な目安
広告費に対する料率。最低手数料・制作費・初期費用の有無で実際の負担は変わります
国内の広告代理店の運用手数料は、一般的に広告費の20%前後が目安とされています。ただし、最低手数料が決まっている、制作費が別にかかる、初期費用がある、などの違いがあるため、請求書を12か月分並べて合計するのが確実です。相場の詳しい見方は「広告代理店の手数料の相場」で扱います。
| 代理店の費用 | 確かめる場所 |
|---|---|
| 運用手数料 | 請求書の明細、契約書の料率 |
| 最低手数料 | 契約書(広告費が少ない月の扱い) |
| 制作費 | 請求書(別の名目になっていないか) |
| 初期費用・レポート費 | 契約書・見積書 |
比べ方の計算例
ここでは、比べ方を示すための計算例を挙げます。数字は仮に置いたもので、実際の金額は会社ごとに異なります。
前提(仮置き)
- 月の広告費:300万円(年3,600万円)
- 代理店の手数料:広告費の20%
- 担当者の人件費:社会保険料などを含めて年700万円(専任1人)
- ツール・教育・外部支援:年120万円
- 1
代理店の年間の手数料を出す
3,600万円 × 20% = 720万円
- 2
インハウス化した場合の年間の費用を出す
700万円 + 120万円 = 820万円
- 3
差を比べる
この前提では、インハウス化の方が年100万円多い
この例では、専任を1人置くとインハウス化の方が費用が多くなります。一方、既存の社員が業務の半分の時間で担当できるなら、人件費は350万円として計算でき、合計は470万円になります。このように、人件費をどう見積もるかで結果が大きく変わるため、専任か兼任かを先に決めてから比べます。
広告費が月1,000万円(年1億2,000万円)なら、20%の手数料は年2,400万円になり、同じ体制でも差の出方が大きく変わります。
見落としやすい費用
計算で見落としやすいのは、次のような費用です。
- 並行運用の期間:代理店と並行して運用する期間は、手数料とインハウスの費用が重なります。一般的には1〜3か月ほどを見込む会社が多いです
- 退職や異動のリスク:担当者が辞めると、採用と教育をやり直す費用がかかります
- 制作の外注:代理店の手数料に制作が含まれていた場合、インハウス化後は別に費用がかかります
- 管理する人の時間:上司や経営者が成果を確認する時間も、実際には費用です
費用を抑えながらインハウス化する方法
いきなり専任を採用しなくても、費用を抑えて始める方法があります。
- 判断だけ自社に移す:代理店に作業を任せたまま、予算と目標の判断を自社で行う(ハイブリッド型)
- 代理店の手数料を見直す:任せる範囲を狭め、手数料の仕組みを相談する
- 既存の社員が兼任で担当する:日々の確認の手間をツールで減らし、判断に時間を使う
- 外部の支援で育成の期間を短くする:伴走型の支援で、つまずきやすい所を先に避ける
広告費の規模ごとの考え方
費用の差の出方は、広告費の規模によって大きく変わります。次の表は、判断の向きを考えるための目安です。実際には、扱う媒体の数やクリエイティブの量によっても変わります。
| 月の広告費 | 手数料の年額(20%の場合) | 考え方の目安 |
|---|---|---|
| 100万円前後 | 約240万円 | 専任を置くと費用が上回りやすい。兼任や代理店の継続も含めて比べる |
| 300万〜500万円 | 約720万〜1,200万円 | 兼任か専任かで結論が分かれやすい。併用も有力な選択肢 |
| 1,000万円以上 | 約2,400万円以上 | 専任を置いても差が出やすい。体制づくりの期間を見込んで計画する |
広告費が小さい会社では、無理に内製化するよりも、代理店のレポートを自社で読めるようにする、日々の確認だけ自社で持つ、といった小さな一歩の方が費用対効果が高いこともあります。
試算の前に確かめること
試算の数字がずれる原因の多くは、前提の置き方です。社内で試算する前に、次の点を確かめておきます。
- 代理店の請求書を12か月分そろえ、手数料・制作費・初期費用を分けて合計したか
- 担当者は専任か兼任か、兼任ならどれくらいの時間を広告に使えるかを決めたか
- 人件費に社会保険料などの会社負担分を含めたか
- 代理店の手数料に含まれていた制作やレポートを、インハウス化後に誰が担うかを決めたか
- 並行運用の期間と、その間に重なる費用を見込んだか
- 初年度だけでなく、2年目以降の費用も並べたか
経営に説明するときのまとめ方
試算ができたら、経営や上司に説明する資料にまとめます。費用の比較は、前提の置き方で結論が変わるため、数字だけでなく前提も一緒に示すことが大切です。
まず、いまの代理店の年間の費用と、インハウス化した場合の年間の費用を、初年度と2年目以降に分けて並べます。次に、専任と兼任など前提を変えた場合の結果を2〜3通り示し、どの前提ならどちらが安くなるかを見せます。最後に、費用以外の効果(判断の速さ、ノウハウが社内に残ること)と、リスク(担当者の退職、成果の一時的な揺れ)を書き添えます。
一つの数字だけで「下がる」「上がる」と言い切るよりも、条件ごとの幅で示した方が、経営としても判断しやすくなります。説明のあとで前提が変わった場合(担当者の採用ができなかった、広告費の計画が変わったなど)は、試算を更新して改めて共有します。
費用の比較でよくある失敗
費用の比較でつまずきやすいのは、次のような場面です。
- 人件費を0円として計算する:既存の社員が担当する場合でも、その人がほかの仕事に使っていた時間は失われます。広告に使う時間の割合で按分して計算します
- 初年度だけで判断する:採用や教育、並行運用の費用が重なる初年度は、インハウス化の方が高く見えやすくなります。2年目以降の費用も合わせて見ると、判断が変わることがあります
- 成果の変化を入れない:費用が下がっても、CPAやROASが悪化すれば、事業としては損になることがあります。費用と一緒に、成果の水準をどう保つかも計画に入れます
インハウスマーケの料金
インハウスマーケは、TUKURO が第三者の立場でインハウス化を支援するサービスです。料金は次のとおりです(いずれも税別)。
| サービス | 月額 | 最低利用期間 | 月の広告費の目安 |
|---|---|---|---|
| インハウスAI | 5万円から | 1か月 | 月100万円まで |
| インハウスプログラム | 10万円から | 3か月 | 月100万〜1,000万円 |
| インハウスコミット | 個別見積り | 2か月 | 月1,000万円から |
初期費用はかかりません。インハウスAIとインハウスプログラムは、月の広告費が100万円を超えた分の3%を加算します(例:広告費300万円なら6万円の加算)。いまの費用からの差の目安は、無料の簡易診断でお出しします。料金の詳細は料金ページをご覧ください。


