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インハウス化の基本

広告運用のインハウス化とは?メリット・デメリットと向く会社

藤井 俊祐

監修 藤井 俊祐(株式会社TUKURO 代表取締役)

公開 2026.10.16/更新 2026.10.18・約6分で読めます

この記事の結論

広告運用のインハウス化とは、広告代理店に任せていたGoogle広告やMeta広告などの運用を、自社の担当者が判断・実行できる状態にすることです。主なメリットは代理店の手数料(マージン)が減ることと、判断が速くなりノウハウが社内に残ることです。一方で、人材の確保と育成、担当者が抜けたときの属人化が課題になります。

広告運用のインハウス化とは

広告運用のインハウス化とは、広告代理店に任せていた運用型広告の「判断」と「作業」を、自社の担当者が行える状態にすることです。内製化とも呼ばれます。対象になるのは、Google広告(旧 Google AdWords)やMeta広告(Facebook・Instagram 広告)のように、入札・予算・広告文・ターゲティングを日々調整する広告です。

インハウス化は「すべてを自社でやる」ことだけを指すわけではありません。実務では、次のような段階があります。

段階自社でやること外部に任せること
1. 見える化数字の確認・代理店への質問運用の作業すべて
2. 判断の内製化予算配分・目標の決定・施策の承認設定作業・制作
3. 運用の内製化日々の調整・検索語句の確認・入札の見直し制作や一部の媒体
4. 完全内製戦略から作業までなし(必要に応じて相談)

多くの会社は、いきなり4を目指すのではなく、1から順に進めます。自社がどの段階を目指すのかを決めることが、インハウス化の最初の一歩です。

インハウス化のメリット

インハウス化の主なメリットは、費用・速さ・ノウハウの3つです。

代理店の手数料(マージン)が減る

20%前後

国内の広告代理店の運用手数料の一般的な目安

広告費に対する料率。月の広告費300万円なら、手数料は月60万円前後になります

国内の広告代理店の運用手数料は、一般的に広告費の20%前後が目安とされています。たとえば月の広告費が300万円なら、手数料は月60万円前後になります。インハウス化すると、この手数料の代わりに人件費やツール費がかかりますが、広告費が大きいほど差が出やすくなります。費用の比べ方は「インハウス化の費用」で詳しく扱います。

判断が速くなる

代理店を通すと、依頼・確認・反映のやりとりに時間がかかります。社内の担当者が管理画面を見て判断できれば、セールの開始や在庫切れ、急な成果の悪化にその日のうちに対応できます。

ノウハウと数字が社内に残る

どの検索語句で成果が出たか、どの広告文が効いたかという知見は、事業の資産です。代理店に任せきりだと、担当者が替わったり契約を終えたりしたときに、その知見が社内に残りにくくなります。

インハウス化のデメリット

デメリットは、人材と体制にまつわるものが中心です。

人材の確保と育成に時間がかかる

運用型広告は、媒体の仕様変更が多く、学ぶことが絶えません。経験者の採用は簡単ではなく、未経験者を育てるには数か月単位の時間がかかります。

属人化しやすい

担当者が1人だけだと、その人が休んだり辞めたりしたときに運用が止まります。手順を文書にする、数字を複数人で見る、といった仕組みが必要です。

最新情報や他社の知見が入りにくい

代理店は多くのアカウントを見ているため、媒体の新機能や業界の傾向に触れる機会が多いです。自社だけで運用すると、こうした情報が入りにくくなります。

インハウス化が向いている会社・向いていない会社

向いているかどうかは、広告費の規模・社内の人・事業のスピードの3点で判断できます。

観点向いている慎重に考えたい
広告費手数料の額が担当者の人件費に近い、または上回る手数料が人件費を大きく下回る
社内の人担当できる人がいる、または育てる時間がある担当者がおらず、採用の予定もない
事業のスピードセールや在庫で広告を頻繁に変える広告の内容がほとんど変わらない
数字の扱い売上・粗利と広告の数字をつなげて見たい広告の数字だけ見られれば十分

始める前に確かめること

インハウス化を決める前に、次の4点を確かめておくと、あとで困りません。

インハウス化を決める前に確かめる4点
  • 広告アカウントの所有者:アカウントが自社名義か、代理店名義かを確認する。代理店名義の場合、過去のデータを引き継げるかを先に相談する
  • 自社の権限:Google広告には管理者・標準・読み取り専用などのアクセス権がある。まずは閲覧できる権限があるかを確認する
  • 計測の状態:コンバージョン(成果)の計測が正しく設定されているか、GA4 と数字が大きくずれていないかを確かめる
  • いまの費用:広告費・手数料・制作費を分けて、年間でいくらかかっているかを把握する

代理店に任せる運用との違い

インハウス化と代理店への委託の違いは、作業をする人の違いだけではありません。判断の速さ、知見の残り方、費用のかかり方が変わります。

観点代理店に任せるインハウス化する
判断する人代理店が提案し、自社が承認する自社の担当者と意思決定者が決める
対応の速さ依頼・確認・反映のやりとりが入る社内で決まれば、その日のうちに動ける
知見の残り方代理店の担当者に集まりやすい社内に残るが、担当者に偏りやすい
費用のかかり方広告費に応じた手数料人件費・ツール費・教育費
外の情報多くのアカウントを見た知見が入る自分で集める必要がある

どちらが優れているということではなく、自社の体制と目的に合う方を選ぶ、あるいは両方を組み合わせることが現実的です。

インハウス化についてのよくある誤解

インハウス化を検討するとき、次のような誤解から話が進まなくなることがあります。

代理店との契約をすぐに終えなければならない

インハウス化は、代理店との契約を終えることと同じではありません。数字を自社で見られるようにする、判断だけを自社に移す、といった段階から始められます。代理店との併用を続ける会社も多く見られます。

広告の専門家を採用しないと始められない

最初に必要なのは、予算と目標を決め、数字を見て判断する社内の人です。広告の専門家でなくても、媒体が公開している学習コンテンツや外部の支援を使いながら、少しずつ実務を覚えることができます。

自動化が進んだので、運用の手間はかからない

Google広告の自動入札や Meta広告の Advantage+ など、媒体の自動化は進んでいます。それでも、何を成果として計測するか、予算と目標をいくらにするか、どの広告を見せるかといった判断は人が決める必要があります。自動化で作業は減っても、判断の責任はなくなりません。

目指す段階の選び方

どの段階を目指すかは、社内で広告に使える時間と、判断のスピードがどれだけ事業に効くかで決めます。社内に担当者を置く余力が小さい会社は、まず見える化と判断の内製化までを目指し、作業は代理店に任せる形が無理なく続きます。セールや在庫に合わせて広告を頻繁に変える会社や、広告費が大きく手数料の額が人件費を上回る会社は、運用の内製化まで進める意味が大きくなります。

一度決めた段階も、固定する必要はありません。半年ごとなど区切りを決めて、担当者の習熟度と成果を見ながら見直します。段階を進めるときは、前の段階の作業が安定して回っているかを確かめてからにすると、成果の揺れを小さくできます。

検討を始めるときの進め方

インハウス化を検討するときは、まず社内で目的を言葉にし、いまの費用と成果を数字でつかむところから始めます。そのうえで、目指す段階(見える化・判断の内製化・運用の内製化・完全内製)を決め、必要な人と期間を見積もります。具体的な手順は「インハウス化の進め方」で、つまずきやすい点は「インハウス化でよくある失敗」で詳しく扱っています。

インハウスマーケでできること

インハウスマーケは、TUKURO が第三者の立場でインハウス化を支援するサービスです。無料の簡易診断では、10の質問に答えるだけで、いまの費用と体制から、合う進め方の目安をお出しします。代理店に任せたまま、社内で状況をつかむところから始めることもできます。

よくある質問

Q. インハウス化と内製化は同じ意味ですか?
広告運用の文脈では、ほぼ同じ意味で使われます。どちらも、外部の広告代理店に任せていた運用の判断や作業を、自社で行えるようにすることを指します。
Q. インハウス化すると代理店とは縁が切れますか?
切る必要はありません。戦略は自社で決め、制作や一部の媒体だけを代理店に任せる併用(ハイブリッド)の形も一般的です。自社に合う分担を選ぶことが大切です。
Q. どのくらいの広告費からインハウス化を考えるべきですか?
決まった基準はありませんが、一般的には手数料の額が担当者の人件費に近づくあたりが、検討を始める目安になります。金額だけでなく、社内に担当できる人がいるかも合わせて考えます。
Q. インハウス化にはどのくらいの期間がかかりますか?
体制や経験によって大きく変わります。アカウントの権限移管や計測の整備だけなら短期間で済むこともありますが、担当者が自分で判断できるまでには、一般的に数か月から1年ほどを見込む会社が多いです。

参考にした公式の情報

藤井 俊祐

この記事の監修

藤井 俊祐株式会社TUKURO 代表取締役

サイバーエージェントで年間売上200億円規模の広告事業の部署を統括。デジタルマーケティングの経験は15年以上、累計100サービス以上を支援。いまは広告運用のインハウス化を第三者の立場で支援している。

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