ハイブリッド型は、役割を分けて併用する形です
広告運用のハイブリッド型とは、代理店とインハウス(自社運用)を併用し、役割を分けて運用する形です。すべてを代理店に任せる、すべてを自社で行う、の中間にあたります。
インハウス化(内製化)を「代理店をやめること」と考える必要はありません。自社に足りない部分だけを外部に任せることで、ノウハウを社内に残しつつ、人手の足りなさを補えます。
分け方の3つの型
分け方は、大きく次の3つがあります。実際には組み合わせることも多いです。
| 型 | 自社が持つもの | 代理店に任せるもの | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| 判断と作業で分ける | 予算・目標・施策の判断 | 設定の作業、レポートの作成 | 判断できる人はいるが、作業の時間が足りない |
| 媒体で分ける | 慣れた媒体(例:Google広告) | 新しい媒体や得意でない媒体 | 媒体ごとに社内の経験に差がある |
| 制作で分ける | 運用と数字の判断 | 広告文・バナー・動画・LP の制作 | 運用はできるが、制作の手が足りない |
判断と作業で分ける
自社が予算配分や目標の CPA・ROAS を決め、代理店が入札や設定の作業を行う形です。判断が社内に残るため、代理店の担当者が替わっても方針がぶれにくくなります。
媒体で分ける
たとえば、検索広告は自社で運用し、Meta広告(Facebook・Instagram 広告)は代理店に任せる、といった分け方です。媒体ごとに責任がはっきりする一方、媒体をまたいだ予算配分は自社で判断する必要があります。
制作で分ける
運用は自社で行い、クリエイティブの制作だけを外部に任せる形です。Meta広告のように、広告の疲弊(同じ広告を見せ続けることで反応が落ちること)に合わせて新しい素材が要る媒体で取り入れられることが多いです。
ハイブリッド型のメリットと注意点
ハイブリッド型のメリットは、ノウハウを残しながら、社内で足りない部分を補えることです。一方で、役割があいまいだと、責任の所在がわからなくなります。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 判断と数字が社内に残る | 誰が何を決めるかを決めないと、責任があいまいになる |
| 人手が足りない部分を補える | 自社と代理店で同じ設定を触ると、変更がぶつかる |
| 段階的にインハウス化できる | 任せる範囲が狭いと、代理店側の優先度が下がることがある |
| 代理店の知見も使える | 手数料の仕組みを見直さないと、費用が下がらないことがある |
ハイブリッド型が向いている会社
ハイブリッド型が特に合うのは、次のような会社です。
- 広告の判断ができる社員はいるが、設定や制作に使える時間が足りない
- 複数の媒体を使っていて、媒体ごとに社内の経験に差がある
- いきなり代理店との契約を終えるのは不安で、段階的にインハウス化したい
- 代理店の知見は残しつつ、数字と判断を社内で持ちたい
反対に、社内に広告の判断ができる人がまだいない場合は、まず代理店のレポートを自社で読み解けるようになるところから始めると、役割を分けやすくなります。
うまくいかせるための決めごと
ハイブリッド型でつまずきやすいのは、運用の技術ではなく決めごとの不足です。始める前に、次の5つを決めておきます。
- 決める人:予算と目標を決めるのは誰か。代理店が提案し、自社が承認する流れにするか
- 変更の担当範囲:どの設定を自社が変え、どの設定を代理店が変えるか
- 変更の記録:変えた日・内容・理由をどこに残すか。Google広告の変更履歴だけでなく、理由も残す
- 数字の見方:どの数字(コンバージョンの定義、期間、媒体の管理画面か GA4 か)で成果を判断するか
- 定例の場:週か月に1回、数字と次の施策を一緒に確認する場
手数料の考え方
任せる範囲が狭くなるなら、手数料(マージン)の仕組みも見直しの対象になります。国内の代理店の運用手数料は、一般的に広告費の20%前後が目安とされていますが、ハイブリッド型では作業の量と広告費が比例しないこともあります。
広告費に対する料率のままにするのか、作業の範囲に応じた固定の料金にするのかを、代理店と話し合います。交渉の進め方は「広告代理店の手数料の削減」で詳しく扱います。
併用から始めて、少しずつ自社の範囲を広げる
ハイブリッド型は、それ自体を最終形にしても構いませんし、インハウス化の途中の形として使うこともできます。途中の形として使う場合は、自社が持つ範囲を一度に広げず、段階を踏んで広げるのが一般的です。
- 数字を読む
- 判断を持つ
- 作業を持つ
- 範囲を決め直す
最初は数字を読むところから
最初の段階では、代理店のレポートと広告の管理画面の数字を、自社の担当者が自分で読めるようにします。コンバージョンの定義、CPA・ROASの計算のしかた、費用の内訳を、代理店に説明してもらいながら確かめます。ここができると、定例会での会話が「報告を聞く」から「一緒に判断する」に変わります。
次に判断を持つ
数字が読めるようになったら、予算の配分や目標の見直しといった判断を自社が持ちます。代理店には提案をもらい、自社が承認する形にすると、判断の理由が社内に残ります。
そのあとで作業を持つ
除外キーワードの追加や広告文の入れ替えなど、作業の一部を自社で行うのは、判断が社内に根づいてからでも遅くありません。作業を先に引き取ると、担当者の時間が足りなくなり、かえって運用が止まることがあります。
区切りごとに範囲を決め直す
半年や契約更新のタイミングなど、区切りを決めて、自社と代理店の範囲を見直します。範囲が変われば、手数料の仕組みも合わせて見直します。
定例会で確かめること
併用では、定例会が自社と代理店の判断をそろえる場になります。毎回同じ観点で話すと、議論がぶれにくくなります。
| 観点 | 確かめる内容 | 決めること |
|---|---|---|
| 成果 | 目標のCPA・ROASに対する実績、前月・前年との差 | 目標を据え置くか、見直すか |
| 費用 | 媒体ごとの消化額と、月末までの消化の見込み | 予算の配分を変えるか |
| 変更 | 前回からの変更の内容と、その結果 | 続けるか、元に戻すか |
| 次の施策 | 代理店からの提案と、自社からの依頼 | 誰がいつまでに行うか |
最後の「誰がいつまでに」を決めずに終わると、次の定例まで何も進まないことがあります。議事録に担当と期限を残しておきます。次の定例の冒頭で、前回決めたことが実行されたかを確かめる流れにすると、決めたまま止まることを防げます。担当が自社か代理店かにかかわらず、同じ形で確かめるのがこつです。自社側の宿題(素材の提供や社内の確認)が止まっている場合も、同じように記録に残します。
よくある失敗
ハイブリッド型でつまずきやすいのは、次のような場面です。
- 同じ設定を両方が触る:自社が予算を変えた翌日に代理店が入札を変える、といった重なりが起きると、どの変更が成果に効いたのか分からなくなります
- 数字の物差しが違う:自社は GA4、代理店は媒体の管理画面で成果を見ていると、同じ月でも数字が合わず、話し合いが噛み合いません
- 任せる範囲を減らしたのに条件が同じ:作業が減っても手数料の仕組みを変えないと、併用による費用の差は生まれません
- 担当者が一人で抱える:自社の担当者が兼任で、ほかの業務が忙しくなると判断が止まります。判断を代わりにできる人をもう一人決めておくと安心です
インハウスマーケでできること
インハウスマーケは、TUKURO が第三者の立場でインハウス化を支援するサービスです。代理店に運用を任せたままでも、広告アカウントの閲覧の権限があれば、社内で状況をつかめるようになります。どこまで自社で持つとよいかは、無料の簡易診断で目安をお出しします。


