「リスティング広告を始めたいが、社内に詳しい人がいないので代行を探している」。こうした相談では、費用の比較から入ることが多いのですが、成果を分けるのは、頼む前に社内で何を決めておくかです。この記事では、リスティング広告代行の費用の目安と、依頼の前に決めておく5つのことをまとめます。
リスティング広告代行の費用は広告費の20%前後が目安
リスティング広告代行(Google広告やYahoo!広告の検索広告の運用代行)の費用は、一般的に広告費の20%前後の運用手数料が中心です。広告費が小さい場合は月数万円の最低手数料、立ち上げのときは初期費用がかかるのが目安です。
| 費目 | 目安 | 確かめること |
|---|---|---|
| 運用手数料 | 広告費の15〜20%前後 | 広告費に掛けるか、請求総額に掛けるか |
| 最低手数料 | 月3万〜10万円前後 | いくらの広告費から料率に切り替わるか |
| 初期費用 | 無料〜十数万円 | キーワード選定・広告文・計測タグの設定が含まれるか |
| 最低契約期間 | 3〜6か月前後、または縛りなし | 自動更新と解約の予告期間 |
リスティング広告は、キーワードと広告文と入札で成り立つため、バナーや動画の制作が少なく、ディスプレイ広告やSNS広告に比べると制作費が別にかかりにくいのが特徴です。そのぶん、料率と含まれる作業の範囲が比較の中心になります。
広告費が小さいときは、最低手数料に注意する
広告費が月20万〜30万円前後までの会社では、料率よりも最低手数料が実際の負担を決めます。最低手数料5万円の場合、広告費が25万円を下回ると実質の料率は20%を超え、広告費10万円なら50%です。
25%
広告費20万円・最低手数料5万円のときの実質の料率
5万円÷20万円。料率20%の契約でも、広告費が小さいと実際の負担は上がる
この規模では、代行に頼むか、社内で運用するかの比較が意味を持ちます。検索広告は、キーワードの数が少なく、キャンペーンが1〜2本で済む商材も多く、社内の担当者が週に数時間で回せる場合もあるためです。反対に、キーワードが数百を超える、地域や商品ごとにキャンペーンを分ける必要がある、といった場合は、代行に任せる意味が大きくなります。
頼む前に決めておく5つのこと
代行の費用を比べる前に、目標・予算・成果の定義・アカウントの持ち主・社内の窓口の5つを社内で決めておくと、見積もりの比較がしやすくなり、運用が始まってからの行き違いも減ります。
- 1
目標とする獲得単価(CPA)
1件の問い合わせや購入にいくらまで払えるかを、粗利や成約率から逆算して決める
- 2
月の予算と使い方
月の上限と、成果が良いときに増やしてよい幅を決める
- 3
成果の定義
問い合わせ・資料請求・電話・購入など、何を成果として数えるかを決める
- 4
広告アカウントの持ち主
自社名義で作り、代理店に権限を渡す形にするかを決める
- 5
社内の窓口と頻度
誰が定例会に出て、問い合わせの質をどう伝えるかを決める
目標とする獲得単価は、粗利から逆算する
目標の獲得単価(CPA)は、「1件の成約で得られる粗利」と「問い合わせから成約までの割合」から逆算するのが基本です。たとえば成約1件の粗利が30万円、問い合わせの2割が成約するなら、問い合わせ1件に払える上限は6万円です。ここが決まっていないと、代理店は何を基準に入札を調整すればよいかが分からず、レポートの良し悪しも判断できません。
成果の定義は、後から変えると比較できなくなる
問い合わせフォームの送信だけを成果にするのか、電話のタップや資料のダウンロードも含めるのかで、数字は大きく変わります。途中で定義を変えると、前の月と比べられなくなり、自動入札の学習にも影響します。最初に決め、変えるときは変えた日を記録しておきます。
広告アカウントは自社名義が安心
代理店の名義のアカウントで配信すると、代理店を変えるときに過去のデータや設定を引き継げないことがあります。自社でGoogle広告のアカウントを作り、代理店には「標準」などの権限を渡す形にすれば、運用の履歴は自社に残ります。自社の担当者は「読み取り専用」の権限でも、管理画面の数字や変更履歴を見られます。
見積もりを比べるときのチェックリスト
見積もりは、同じ条件で、同じ作業の一覧を埋めてもらうことで初めて比べられます。料率だけを並べると、作業の範囲や別料金の違いが見えません。
- 手数料の計算の基準(広告費か請求総額か)と最低手数料
- キーワードの追加・除外キーワードの管理の頻度
- 検索語句レポートの確認と、除外の判断をだれが行うか
- 広告文の入れ替えの本数と頻度
- レポートの頻度と、定例会の回数
- コンバージョンの計測タグの設定が含まれるか
- 広告アカウントの名義と、自社に渡される権限
除外キーワードの管理と検索語句の確認は、リスティング広告の費用対効果に直結する作業です。どのくらいの頻度で見てもらえるかは、料率の差よりも成果に響くことがあります。
頼んだ後の最初の3か月で確かめること
代行を始めたら、最初の3か月は成果の数字よりも、土台が整っているかを確かめます。リスティング広告は、配信を始めてからデータがたまり、自動入札が落ち着くまでに時間がかかるため、1か月目の獲得単価だけで良し悪しを決めると判断を誤りやすいからです。
| 時期 | 確かめること |
|---|---|
| 1か月目 | 成果の計測が正しく動いているか(管理画面の成果の数と、実際の問い合わせの数が合うか)。キャンペーンとキーワードの構成の説明を受けたか |
| 2か月目 | 検索語句レポートから、関係のない語句が除外されているか。広告文の入れ替えが始まっているか |
| 3か月目 | 目標の獲得単価に対してどこまで来ているか。届かない場合、原因と次の打ち手が説明されているか |
1か月目で特に大事なのは、計測の確認です。管理画面では成果が10件と出ているのに、実際の問い合わせは6件しかない、といったずれは珍しくありません。電話のタップを成果に含めている、同じ人の送信を2回数えている、テストの送信が残っている、などが原因になります。ずれがあるまま入札を自動化すると、AIは間違った成果をもとに学習してしまいます。
2か月目以降は、変更履歴を見ると運用の手の入り方が分かります。Google広告の管理画面では、読み取り専用の権限でも変更履歴を見られます。変更の回数が多ければ良いわけではありませんが、レポートの説明と実際の変更が合っているかは確かめておく価値があります。
代行が向いている会社、自社運用が向いている会社
社内に担当者を置く余力がなく、キーワードやキャンペーンの数が多い会社は、代行が向いています。反対に、広告費が小さく商材が絞られている会社、すでに社内に広告を触れる人がいる会社は、自社運用の方が費用を抑えやすい傾向があります。
| 状況 | 向いている形 |
|---|---|
| 広告費が月20万円前後まで、キーワードが少ない | 自社運用、または最低手数料の低い代行 |
| 広告費が月50万〜数百万円、社内に担当者がいない | 代行 |
| 広告費が月数百万円以上、社内に担当者がいる | 代行と社内の併用、または内製化の検討 |
どの形を選んでも、目標の獲得単価と成果の定義を社内で持っていることが、代行を使いこなす前提になります。代行に任せている場合でも、月に一度は管理画面を自分で開き、費用・成果の数・獲得単価の3つを確かめる習慣をつけておくと、レポートを受け取るだけの状態から一歩進んで、代理店と同じ目線で話せるようになります。
インハウスマーケでできること
インハウスマーケは、代理店とも広告主とも利害のない第三者の立場で、広告運用のインハウス化を支援しています。すでに代行に頼んでいて費用が見合っているか確かめたい場合は、無料の簡易診断(10問・約5分)で、いまの費用と体制から、代行のままがよいか、併用か、内製化かの方向性をお出しします。自社で運用している会社には、Google広告・Meta広告を毎朝点検して改善の提案を届けるインハウスAI(月5万円・税別から)もあります。


