「代理店に頼んでいるのに、担当者からの連絡は月1回のレポートだけ」。広告費が月数十万円の会社から、こうした声を聞くことがあります。この記事では、広告費が少額だと代理店のサービスが手薄になりやすい理由を、料金の仕組みから説明し、少額の広告主がとれる手を整理します。
少額だと手薄になりやすいのは、料金の仕組みのため
広告費が少額だと、代理店から手厚いサービスを受けにくいのは、手数料は広告費に比例するのに、作業量は広告費ほど変わらないからです。代理店に悪意があるわけではなく、定率の手数料という料金の仕組みから自然に起きることです。
運用型広告の代理店手数料は、一般的に広告費の20%前後が目安です。同じ20%でも、広告費によって代理店に入る金額は大きく変わります。
| 計算例 | 月の広告費 | 手数料(20%) | 年間の手数料 |
|---|---|---|---|
| A社 | 30万円 | 6万円 | 72万円 |
| B社 | 300万円 | 60万円 | 720万円 |
10倍
計算例:広告費が10倍なら、定率の手数料も10倍になる
月30万円と月300万円を料率20%で比べた計算例。作業量は10倍にはならないため、1社あたりにかけられる時間に差が出ます
作業量は、広告費ほど変わらない
広告運用の中心になる作業は、広告費の大きさにかかわらず、ほぼ同じだけかかります。
| 作業 | 少額でも必要か | 広告費が大きいと |
|---|---|---|
| アカウントとキャンペーンの設定 | 必要 | キャンペーンの数が増える分、やや増える |
| 検索語句の確認と除外キーワードの追加 | 必要 | 語句の数が増える分、やや増える |
| 広告文・バナーの作成と入れ替え | 必要 | 試す本数が増える |
| 成果の計測の設定と確認 | 必要 | ほぼ同じ |
| 月次レポートの作成 | 必要 | ほぼ同じ |
| 定例の打ち合わせ | 必要 | ほぼ同じ |
広告費が大きいと、キャンペーンや広告の数が増え、試すことも増えるので、作業は増えます。それでも、広告費が10倍になったからといって作業が10倍になるわけではありません。
そのため、代理店の側から見ると、少額のアカウントには経験の浅い担当者を割り当てる、1人の担当者が多くの会社を受け持つ、打ち合わせを減らす、レポートを定型にする、といった形で採算を合わせることになりがちです。最低手数料を設けたり、一定の広告費に満たない依頼を受けなかったりするのも、同じ理由です。
最低手数料があると、実質の料率は上がる
少額の依頼では、最低手数料が決まっていることが多く、広告費が少ないほど実質の料率は上がります。計算例として、料率20%・最低手数料5万円の場合を見ます。
| 計算例:月の広告費 | 20%で計算した額 | 実際の手数料 | 実質の料率 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 2万円 | 5万円 | 50% |
| 15万円 | 3万円 | 5万円 | 約33% |
| 25万円 | 5万円 | 5万円 | 20% |
| 50万円 | 10万円 | 10万円 | 20% |
この例では、広告費25万円が分かれ目で、それより少ないと実質の料率は20%を超えます。見積もりを比べるときは、料率だけでなく最低手数料と、自社の広告費での実際の金額を確かめてください。
少額で代理店に頼むときに確かめること
少額でも代理店に頼む場合は、手数料の範囲で何をしてもらえるかを事前に具体的に決めておくと、期待とのずれが小さくなります。
- 担当者の経験と、1人で受け持っている会社の数
- 月に行う作業の一覧(検索語句の確認、広告の入れ替え、予算の調整など)と、その頻度
- 定例の打ち合わせの回数と、レポートの中身
- 最低手数料と、自社の広告費での実質の料率
- 制作費や初期費用など、手数料とは別にかかる費用
- 広告アカウントが自社名義になるか、自社に閲覧の権限があるか
- 契約期間と、解約の申し出の期限
契約したあとは、Google広告の「変更履歴」で、どのくらいの頻度で手が入っているかを確かめられます。変更履歴では過去2年分の変更を見られます。ただし、自動入札が中心の運用では、触る回数が少ないことが正しい場合もあるため、回数だけで判断せず、何を変えたかと成果の推移を一緒に見てください。
少額でも質を上げるための、代理店との付き合い方
少額でも代理店との関係を良くするには、代理店の手間を減らし、判断に使う時間を増やしてもらうことです。手数料の総額が変わらなくても、代理店が細かな確認や資料づくりに使う時間を減らせれば、その分を運用の判断に回してもらえます。
具体的には、次のような工夫があります。
- 成果の定義(何を1件と数えるか)と、目標の獲得単価を広告主の側で決めて伝える
- 商品やキャンペーンの情報、繁忙期、在庫や予約の状況を、決まった形で毎月共有する
- 定例の打ち合わせを、報告の読み上げではなく「次の1か月に何を試すか」を決める場にする
- レポートは定型のままでよいので、気になる点だけを質問として事前に送る
- 広告文やバナーの素材(写真・お客さまに伝えたいこと)を社内で用意して渡す
こうした準備は社内の手間になりますが、広告主が自社の事業をいちばんよく知っていることは、広告費の大小にかかわらず変わりません。少額のうちから、判断の材料を社内で持っておくことは、のちに広告費を増やしたときや、運用を社内に移すときの土台にもなります。
広告費が増えたら、契約を見直す
広告費が増えてきたら、最低手数料の範囲を抜けたか、料率や作業範囲が今の規模に合っているかを見直します。少額のときに決めた契約のまま広告費だけが増えると、今度は手数料の総額が作業に対して大きくなっていくことがあります。半年に一度など、見直しの時期をあらかじめ決めておくと、話を切り出しやすくなります。
少額の広告主がとれる4つの選択肢
少額の広告主には、代理店に頼む以外にも選択肢があります。どれがよいかは、社内の時間と計測の整い方で決まります。
| 選択肢 | 向いている会社 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 作業範囲を絞って代理店に頼む | 社内に広告を見る時間がほとんどない | 頼む作業と頻度を契約で決めておく |
| 自社で運用し、媒体の自動化を使う | 週に数時間を広告に使える人がいる | 計測を整えないと自動入札が働かない |
| 自社で運用し、点検はツールに任せる | 担当者が兼任で、毎日は見られない | ツールの提案を判断する人は社内に要る |
| 設定と計測だけ外部に頼む併用 | 立ち上げに専門知識が要るが、日々は自社で回したい | 外部と社内の役割の分け目を決める |
自社で運用する場合は、Google広告のスマート自動入札や、Meta広告の Advantage+ のような媒体の自動化を活かすと、手で細かく調整する作業を減らせます。ただし、自動化は成果(コンバージョン)のデータをもとに学習します。Google 広告ヘルプでは、スマート自動入札について、一定期間に一定数以上のコンバージョンがあることを推奨の条件として示しています。少額で成果の件数が少ない場合は、配信する語句や地域を絞る、成果の定義を見直すといった工夫が要ります。
少額で自社運用するときの基本の流れ
少額で自社運用するときは、計測を整え、狙いを絞り、点検を習慣にすることが基本です。
- 計測を整える
- 語句と地域を絞る
- 自動入札を使う
- 毎週点検する
- 月1回振り返る
毎日やることは、配信が止まっていないか、予算を使いすぎていないかの確認だけで十分です。検索語句の確認と除外キーワードの追加、広告の入れ替えは、週に一度まとめて行います。兼任での回し方は「広告担当が兼任でも回る運用の仕組み」で詳しく扱っています。
インハウスマーケでできること
インハウスマーケのインハウスAIは、自社で広告を運用している会社向けのサービスです。Google広告・Meta広告を毎朝点検し、成果の急な変化、予算の消化ペース、成果の悪いキャンペーン、コンバージョンのない検索語句、止まった広告、広告の疲弊を見つけて、提案を Slack・Chatwork・Google Chat・メールに届けます。反映するのは承認したものだけで、勝手に広告を変えることはありません。料金は月5万円(税別)から、初期費用なし、最低1か月です。


