SNS広告の運用代行を検討するとき、検索広告(リスティング広告)の代行と同じ感覚で料率だけを比べると、あとから制作費がかさんで総額が想定を超えることがあります。この記事では、SNS広告運用代行の費用の目安と、検索広告と違う点、代行会社を選ぶときの確かめ方をまとめます。
SNS広告運用代行の費用は手数料と制作費で決まる
SNS広告運用代行の費用は、一般的に広告費の20%前後の運用手数料に、画像や動画の制作費が加わる形が目安です。検索広告では文字の広告文が中心ですが、SNS広告では画像・動画の出来が成果を大きく左右するため、制作の扱いで総額が変わります。
| 費目 | 目安 | 確かめること |
|---|---|---|
| 運用手数料 | 広告費の15〜20%前後 | 計算の基準と最低手数料 |
| 最低手数料 | 月数万円〜 | どの広告費から料率に切り替わるか |
| 制作費(画像) | 手数料に含む、または1点ごと | 月に何点まで含まれるか、修正は何回までか |
| 制作費(動画) | 1本ごと、または月額 | 尺・本数・素材の用意はどちらか |
| 初期費用 | 無料〜十数万円 | ピクセルやコンバージョンAPIの設定が含まれるか |
制作費は、会社によって形がまったく違います。月に数点のバナーを手数料に含める会社もあれば、1点ごとに見積もる会社、素材は広告主が用意する前提の会社もあります。総額を比べるときは、月に何本のクリエイティブを新しく作るかを決め、その本数で各社に見積もってもらうと公平に比べられます。
検索広告の代行と違う3つの点
SNS広告の運用は、探している人に答える検索広告と違い、まだ探していない人の目にとまることを狙う広告です。そのため、代行に求める力も変わります。
| 違い | 検索広告 | SNS広告 |
|---|---|---|
| 成果を左右するもの | キーワードと入札、広告文 | クリエイティブ(画像・動画)と、届ける相手 |
| よく行う作業 | 検索語句の確認、除外キーワード | クリエイティブの入れ替えと検証、広告の疲弊の見極め |
| 計測の要 | Google広告のコンバージョン、拡張コンバージョン | ピクセルとコンバージョンAPI(CAPI) |
クリエイティブが疲れる
SNS広告は、同じ人に同じ広告が何度も表示されると、クリック率が下がり、獲得単価が上がっていきます。これを広告の疲弊と呼びます。代行会社がフリークエンシー(1人あたりの平均表示回数)やクリック率の推移を見て、どのくらいの間隔で新しいクリエイティブを入れるかを決めているかは、面談で確かめたい点です。
配信の調整はAI任せの部分が大きい
Meta広告では、Advantage+ のように、配信先や配置をAIが選ぶ仕組みが広がっています。人が細かく相手を絞り込む作業は減り、その分、**AIに何を学ばせるか(成果の定義と計測)**と、AIに渡すクリエイティブの幅が運用の中心になっています。
計測の設定が成果を左右する
ブラウザのクッキーの制限で、ピクセルだけでは成果を取りこぼしやすくなっています。サーバーから成果を送るコンバージョンAPI(CAPI)をあわせて使うと、計測の抜けを減らせます(Meta for Developers)。この設定をだれが行うか、別料金になるかを確かめてください。
媒体ごとの向き不向き
どのSNSに出すかは、商材と、届けたい相手の年代や関心で決まります。一般的な向き不向きの目安は次のとおりです。
| 媒体 | 向いている商材・目的の目安 |
|---|---|
| Meta広告(Facebook・Instagram) | 幅広い年代、EC、店舗、BtoBのリード獲得まで対応の幅が広い |
| Instagram(リール・ストーリーズ) | 見た目で伝わる商材、美容・ファッション・飲食 |
| TikTok | 若い層、動画で伝わる商材、認知の拡大 |
| X | 話題性のある商材、イベントや新商品の告知 |
| LINE | 国内の幅広い利用者への告知、既存顧客への再訴求 |
最初から複数の媒体に広げると、予算が分散して、どの媒体でも学習に必要なデータがたまりにくくなります。まず1つの媒体で計測と勝ちパターンを作り、それから広げるのが一般的な進め方です。
見積もりと面談で確かめること
SNS広告運用代行は、料率・制作・計測・アカウントの名義の4つを確かめると、比較の抜けが減ります。
- 手数料の料率と計算の基準、最低手数料
- 月に新しく作るクリエイティブの本数と、制作費の扱い
- クリエイティブの入れ替えの判断基準(フリークエンシーやクリック率など)
- ピクセルとコンバージョンAPIの設定をだれが行うか
- 広告アカウントとビジネスポートフォリオの名義
- レポートで、クリエイティブごとの成果が見られるか
アカウントの名義は、Meta広告では特に大事です。自社のビジネスポートフォリオ(旧ビジネスマネージャ)に広告アカウントを置き、代理店にはパートナーとしてアクセス権を付ける形にすると、代理店を変えてもアカウントと履歴は自社に残ります(Metaビジネスヘルプセンター)。
レポートで見るべき数字
SNS広告の代行会社から届くレポートでは、成果の数と獲得単価に加えて、クリエイティブごとの数字を見ます。検索広告と違い、SNS広告の成果はどの素材が当たったかで大きく変わるため、キャンペーン全体の合計だけでは打ち手が見えないからです。
| 数字 | 見る理由 | 気にしたい動き |
|---|---|---|
| 獲得単価(CPA) | 目標に対して届いているか | 2〜3週続けて上がっている |
| クリック率(CTR) | 素材が目にとまっているか | 同じ素材で週ごとに下がっている |
| フリークエンシー | 同じ人に何回届いているか | 上がり続け、クリック率が下がっている |
| クリエイティブ別の成果 | どの素材が成果を生んでいるか | 1本の素材に成果が偏っている |
1本の素材に成果が偏っているときは、その素材が疲れたときに全体の成果が一気に落ちる心配があります。勝っている素材の要素(見出し・写真の構図・冒頭の数秒)を変えた案を、次の素材として用意しているかを確かめると、代行会社の運用の深さが分かります。
費用を抑えるための工夫
SNS広告の代行費用を抑えるには、制作と配信の分担を見直すのが効果的です。制作費は本数に比例して増えるため、社内で用意できる素材を増やすほど総額は下がります。
たとえば、商品の写真や使っている様子の動画は社内で撮り、テキストの載せ方や比率の調整だけを代行会社に頼む、という分け方があります。スマートフォンで撮った素材でも、SNSでは広告らしさが薄い分、反応が良いことも珍しくありません。また、レポートの頻度を週次から月次に変える、定例会を短くする、といった作業範囲の調整も、料率の交渉より通りやすいことがあります。
代行を始めるまでの流れ
- 1
目的と成果を決める
購入・問い合わせ・来店など、何を成果に数えるかを決める
- 2
媒体を1つ選ぶ
商材と相手から、最初に出す媒体を決める
- 3
アカウントを自社名義で用意する
ビジネスポートフォリオと広告アカウントを作り、代理店をパートナーとして追加する
- 4
計測を整える
ピクセルとコンバージョンAPIで成果が記録されるかを確かめる
- 5
クリエイティブの本数と入れ替えの頻度を決める
見積もりの前提をそろえる
SNS広告は、クリエイティブの量と質がそのまま成果に出やすい広告です。社内に撮影やデザインの力がある会社は、制作は自社、配信の調整だけを外部に頼む、という分け方も選択肢になります。
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