「月30万円の予算なのに、20日の時点でもう25万円使っている」「逆に、半分も使えていない」。リスティング広告の予算は、決めた金額どおりにきれいに使われるとは限りません。予算の配分を決めることと、月の途中で消化ペースを見て直すことは、セットで考える必要があります。
予算配分の基本的な考え方
予算配分は、成果が出ているところに多く、検証中のところに少なくが基本です。具体的には、キャンペーンを次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
| 分類 | 状態 | 予算の考え方 |
|---|---|---|
| 主力 | 目標CPAの範囲でコンバージョンが出ている | 予算の多くを割り当てる。予算で表示が止まっていれば増額を検討 |
| 検証 | 新しく始めた、またはデータが少ない | 判断に足るデータが集まる額だけ割り当てる |
| 見直し | 目標CPAを大きく上回っている | 減額か停止。原因を調べてから再開 |
一般的には、指名キーワード(社名や商品名の検索)は効率がよく、一般的な語句(「会計ソフト おすすめ」など)は効率が下がりがちです。両方を同じキャンペーンに混ぜると、効率のよい指名に予算が使われて一般の語句の実力が見えなくなるため、キャンペーンを分けて予算を管理するのが一般的です。
月の予算の決め方
配分の前に、月の予算そのものを決めます。予算は「使える額」から決めるより、目標の成果数と目標CPAから逆算すると、社内で説明しやすくなります。
- 1
成果の数を決める
月にほしいコンバージョン数を決める(例:問い合わせ30件)
- 2
目標CPAを決める
例:1件あたり1万円。受注率と1件の粗利から、払える上限を出す
- 3
月の予算を出す
コンバージョン数 × 目標CPA(例:30万円)
- 4
1日の平均予算を出す
月の予算 ÷ 30.4(例:約9,900円)
- 5
キャンペーンに割り振る
上の分類(主力・検証・見直し)に沿って配分する
始めたばかりでCPAの実績がないときは、目標CPAは仮置きになります。最初の1〜2か月は検証の期間と考え、実績が出たら目標CPAと予算を見直します。目標CPAの決め方は、広告運用のKPI設計で詳しく解説しています。
Google広告の予算の仕組み
Google広告の予算は「1日の平均予算」で設定します。ここで誤解されやすいのが、1日の費用は設定した額ちょうどにはならない点です。Google 広告ヘルプでは次のように説明されています。
- ほとんどのキャンペーンで、特定の日の費用は1日の平均予算の最大2倍まで発生することがある
- そのかわり、1か月の費用は1日の平均予算の30.4倍(1か月の平均日数)を超えない
- 検索が多い日や、成果が出やすいと見込まれる日に多く使い、少ない日には少なく使う
30.4倍
1か月の費用の上限(1日の平均予算に対して)
Google 広告ヘルプ「費用の上限について」より。ほとんどのキャンペーンが対象で、当てはまらない種類もあります
たとえば1日の平均予算が1万円なら、ある日に2万円近く使われることもありますが、月の費用は30万4千円が上限です。日ごとの数字を見て慌てるのではなく、月の累計で見るのが正しい見方です。なお、この上限が当てはまらないキャンペーンの種類もあるとされているため、使っているキャンペーンについては最新の Google 広告ヘルプで確かめてください。
消化ペースの見方
消化ペースは、月の経過日数に対して、月の予算をどれだけ使ったかで見ます。
- 月の予算と、今日までの経過日数を確かめる
- 理想の消化額=月の予算 × 経過日数 ÷ その月の日数 を出す
- 実際の消化額と比べる(実際 ÷ 理想 で、ペースの割合を出す)
- ペースが大きく速い・遅いキャンペーンを、成果とあわせて見る
たとえば月30万円・30日の月で、10日目の理想は10万円です。実際が13万円なら、このままでは月の予算を超える見込みです。ただし、月初は1日ごとのぶれが大きいので、配信を始めて数日の段階で判断しないのが一般的です。
ペースがずれたときの対応
消化ペースのずれは、成果の効率とあわせて判断します。使い残しているから増やす、使いすぎているから減らす、と機械的に決めると、成果を落とすことがあります。
| 状況 | 判断 | 対応の例 |
|---|---|---|
| 使いすぎ・CPAは目標以内 | 成果が出ているので、月の予算を増やせるか検討 | 社内で増額を相談、難しければ日予算を調整 |
| 使いすぎ・CPAが目標超え | 無駄な配信が増えている可能性 | 検索語句の除外、入札の見直し、日予算の引き下げ |
| 使い残し・CPAは目標以内 | 伸ばせる余地がある | 上限クリック単価や目標CPAを少し上げる、キーワードを広げる |
| 使い残し・CPAが目標超え | 無理に使う必要はない | 予算は残し、効率の改善を先にする |
大切なのは、予算を使い切ることは目的ではないということです。効率が悪いまま消化だけを合わせると、費用だけが増えます。
使い残しの原因が入札ではなく、検索の数そのものが少ないことにある場合もあります。Google広告の表示シェアを見て、すでに多くの検索で表示されているのに使い残しているなら、入札を上げても伸びる余地は小さく、キーワードを広げるほうが効果的です。逆に、表示シェアが低く、その理由が「広告ランクによる損失」なら、入札や広告の品質を見直す余地があります。
予算配分を見直すタイミング
予算の配分は、月に1回は見直すのが一般的です。次のような場面では、月の途中でも見直します。
- 主力のキャンペーンが、予算の不足で表示の機会を逃している(Google広告の「予算による損失」の表示シェアで確かめられます)
- 新しく始めたキャンペーンで、判断に足るデータが集まった
- 季節の需要やセールで、検索が増える時期が近づいている
- CPAが目標を大きく超えたキャンペーンが出てきた
よくある失敗
- 前月の消化額をそのまま今月の予算にする:成果の数と目標CPAから逆算しないと、予算が増えても減っても理由を説明できません。毎月、目標の件数から計算し直します
- 主力のキャンペーンに予算を寄せすぎる:検証のキャンペーンに予算が回らないと、次の主力が育ちません。一般的には、全体のうち一部を検証用として残しておきます
- 月末に使い残しを一気に使う:月末に日予算を大きく上げると、効率の悪い配信が増えやすくなります。調整は月の半ばまでに少しずつ行います
- 媒体をまたいで同じ物差しで比べない:Google広告と Meta広告に予算を分けるときは、コンバージョンの数え方をそろえてから、どちらに寄せるかを判断します
予算の見直しを社内で通すには
予算を増やしたいときは、「使い切れていないから」「足りないから」ではなく、成果の数字で説明すると社内で話が通りやすくなります。たとえば、主力のキャンペーンで目標CPA以内の成果が出ていること、予算による損失の表示シェアがあり、まだ表示の機会を逃していること、増やした場合に見込める件数の幅、の3つをそろえて相談します。減らすときも同じで、どのキャンペーンをなぜ減らすのかを、効率の数字とあわせて示します。
インハウスマーケでできること
インハウスマーケのインハウスAIは、Google広告・Meta広告の予算の消化ペースを毎朝点検します。使い残しや使いすぎがあれば、成果の効率とあわせて、どのキャンペーンの何をいくらにするかを提案し、Slack・Chatwork・Google Chat・メールでお知らせします。効率が悪いときに無理に使わせる提案はしません。反映するかどうかは担当者が決めます。料金は月5万円(税別)からです。


