広告運用会社や広告代理店を探すと、どの会社も「成果にこだわる」「データに強い」と書いていて、違いが分かりにくいものです。この記事では、発注する側が比べるべき7つの観点と、面談でそのまま使える質問の例をまとめます。
広告運用会社は7つの観点で比べる
広告運用会社・代理店は、費用・アカウントの名義・担当者の体制・得意分野・レポート・計測・契約の7つの観点で比べると、ホームページの説明だけでは見えない違いが分かります。
| 観点 | 見ること | 面談で聞くこと |
|---|---|---|
| 1. 費用の総額 | 手数料・初期費用・制作費・最低手数料 | 年間でいくらになるか、計算の基準は何か |
| 2. アカウントの名義 | 自社名義か代理店名義か | 解約したらアカウントとデータはどうなるか |
| 3. 担当者の体制 | 誰が実際に運用するか | 担当者は何社を受け持っているか |
| 4. 得意な媒体と業種 | 自社の媒体・業種での経験 | 同じ業種で気をつける点は何か |
| 5. レポートと定例会 | 数字の報告か、次の打ち手まであるか | レポートの見本を見せてもらえるか |
| 6. 計測の力 | コンバージョンの設定、拡張コンバージョン、CAPI | 計測の設定はだれがどこまで行うか |
| 7. 契約の条件 | 最低期間・自動更新・解約の予告 | 途中で解約するときの条件は何か |
以下、それぞれの観点で何を見ればよいかを順に説明します。
観点1・2:費用は総額で、アカウントは名義で見る
費用は料率ではなく年間の総額で比べます。手数料20%の会社と15%の会社でも、最低手数料や制作費、レポートの追加料金を足すと順位が入れ替わることがあります。各社の見積もりを12か月分に直し、広告費で割った実質の料率を並べてください。
広告アカウントの名義は、費用より後回しにされがちですが、長い目で見ると大きな違いになります。代理店名義のアカウントで運用していると、代理店を変えるときに過去の配信データや設定を引き継げないことがあり、新しいアカウントで学習をやり直すことになります。自社名義のアカウントに代理店の権限を付ける形にできるかを確かめておくと安心です。
観点3・4:だれが運用し、何が得意かを見る
営業の担当者と、実際に運用する担当者が別の会社は少なくありません。実際にアカウントを触る人に会えるか、その人が何社を受け持っているかを聞くと、どのくらい手をかけてもらえるかの目安になります。
得意な媒体と業種も確かめます。検索広告が中心の会社、Meta広告などのSNS広告が中心の会社、動画が得意な会社と、強みは分かれます。業種についても、医療・美容・金融・不動産のように広告の審査や法令の決まりが多い業種では、経験の有無が立ち上げの早さに表れます。Google Partner の認定は、実績・ご利用額・認定資格の要件を満たした会社に与えられるもので、判断材料の一つになります(Google 広告ヘルプ)。
観点5・6:レポートと計測の中身を見る
レポートは、数字の報告だけで終わるか、原因と次の打ち手まで書かれているかで価値が変わります。面談では、実際のレポートの見本(社名を伏せたもの)を見せてもらうのが近道です。定例会の頻度と、会議のあとに何が共有されるかも確かめます。
計測は、運用の土台です。コンバージョンが正しく記録されていないと、入札の自動化も成果の判断も狂います。Google広告の拡張コンバージョン、Meta広告のコンバージョンAPI(CAPI)、GA4との連携などを、だれがどこまで設定するのか、別料金になるのかを確かめてください。
観点7:契約の条件は「やめるとき」から見る
契約は、始めるときではなく、やめるときの条件から確かめると、見落としが減ります。最低契約期間、自動更新の有無、解約の予告期間、解約後のアカウントの扱いの4つです。
- 最低契約期間(3か月・6か月・1年など)
- 自動更新の有無と、更新の単位
- 解約の予告期間(1か月前・3か月前など)
- 解約後のアカウント・データ・広告文やバナーの扱い
広告費の規模で、重視する観点は変わる
7つの観点のどれを重く見るかは、月の広告費の規模で変わります。小さな規模では最低手数料と担当者の距離、大きな規模では料率の交渉と体制が効いてきます。
| 月の広告費 | 特に重く見る観点 | 理由 |
|---|---|---|
| 数十万円まで | 費用の総額(最低手数料)、担当者の体制 | 最低手数料で実質の料率が上がりやすく、担当者が受け持つ社数も多くなりがち |
| 数百万円 | レポートと定例会、計測の力 | 打ち手の質と、成果を正しく測れるかが費用対効果を左右する |
| 1,000万円以上 | 費用の総額(料率の段階制)、アカウントの名義、契約の条件 | 手数料が年間で数千万円になり、料率の数%の差や、代理店を変えるときの引き継ぎの影響が大きい |
広告費が大きくなるほど、代理店を選ぶことと、社内で何を持つかを決めることが近づいてきます。どの会社に頼んでも、アカウントとデータ、目標の決め方は自社で持っておく、という考え方が土台になります。
よくある選び方のつまずき
広告運用会社選びでつまずく理由は、比べる観点が費用と知名度に偏ることがほとんどです。よく見られるのは次の4つです。
| つまずき | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 料率の安さだけで決める | 作業の範囲が狭く、追加料金で総額が増える | 作業の一覧と年間の総額で比べる |
| 営業担当の印象で決める | 実際の運用担当は別の人で、話が伝わっていない | 運用担当者との面談を依頼する |
| 自社の目標を決めずに頼む | 何をもって成功とするかがあいまいで、評価できない | 目標の獲得単価と成果の定義を先に決める |
| アカウントの名義を確かめない | 代理店を変えるときにデータを引き継げない | 自社名義で作り、権限を渡す形にする |
なかでも見落としやすいのが、自社の目標を決めずに頼むことです。目標の獲得単価がないと、代理店は「成果の数を増やす」のか「獲得単価を下げる」のかを決められず、レポートの数字の良し悪しも社内で判断できません。代理店を選ぶ前に、1件の成果にいくらまで払えるかを粗利と成約率から出しておくと、面談での話も具体的になります。
もう一つは、担当者の交代です。運用担当者が変わると、それまでの経緯や判断の理由が引き継がれないことがあります。面談では、担当者が変わるときにどう引き継ぐのか、引き継ぎの資料を自社にも共有してもらえるのかを聞いておくと安心です。
面談で同じ質問をして、比較表を作る
比較は、各社に同じ質問をして、答えを横に並べるのが基本です。会社ごとに話の流れが違うと、聞けたことと聞けなかったことがばらばらになり、比べられなくなります。
- 1
自社の条件を決める
目標の獲得単価・月の予算・成果の定義・社内の窓口を決める
- 2
候補を2〜3社に絞る
得意な媒体と業種が合う会社を選ぶ
- 3
同じ質問で面談する
7つの観点の質問を同じ順で聞き、答えを記録する
- 4
見積もりを総額にそろえる
12か月分の総額と実質の料率を並べる
- 5
やめるときの条件で最終判断
契約の条件とアカウントの名義を確かめて決める
なお、代理店に任せることが合わない会社もあります。広告費が大きく、社内に担当者を置ける場合は、代理店の選び直しではなく、運用の一部または全部をインハウス化(内製化)する選択肢もあわせて比べる価値があります。
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